中国の電子決済ブランドUnion Pay(中国銀聯)の売上高が史上初めてVisaを上回り、「世界一のクレジットカード・ブランド」の座が入れ替わることになった。
Union Payが世界総売上高の37%(5ポイント増)という記録を叩きだしたのに対し、Visaは32%(2ポイント減)、マスターカードは20%(1ポイント減)と、いずれも後退気味。
このデータは英市場調査会社リテール・バンキング・リサーチ(RBR)の「Global Cards Data and Forecasts」最新版から明らかになったものだが、発行枚数ではすでに2010年からUnion Payが最多を誇っていた。
Union、Visa、マスターの3ブランドが市場の89%を独占
Union Payは2002年に中国人民銀行によって、国内のクレジット事業を促進する目的で設立された。
以降14年間にわたり、中国では銀行経由で欧米決済ブランド(Visaやマスターカード)も利用できるものの、加盟店が非常に少ないという理由で、Union Payが独裁をふるうことになる。
一方オンライン・ショッピング人気の爆発が追い風となり、Visaは中国以外の市場で着実に事業を拡大。中国市場への本格進出も検討していると複数の欧米メディアに報じられていたが、加速するUnion Payの勢いには一歩足らずだったようだ。
RBRの最新レポートでは、Union Payのまさに飛ぶ鳥落とす勢いの急成長ぶりが、数字になって示されている。
2015年のカード発行枚数が、世界総計の41%に相当する53億万枚に達したほか、Visa、マスターカードとともに、世界総売上高21兆6000億ドル(約2289兆6000億円)の89%を独占するという快挙を成し遂げた。
残りの11%をアメリカン・エクスプレスやJCB、ダイナース・クラブなどが共有する形で、実質上は上位3大ブランドがクレジット産業を牛耳っている。