中国だから成功したUnion? 信頼性ではナンバーワンはいまなおVisa

これまでUnion Payが独占していた中国決済市場が、ようやく本格的に海外企業にも開放された矢先の「大逆転」だけに、Visaにとっては痛恨の一撃のはずだ。

中流階級の急増にともない、昨年は55兆人民元(約872兆1701億円)に成長した中国決済市場。無限の可能性を秘めた新開拓地となるはずだが、マスターカードが一足先に年内の事業ライセンス申請を発表するなど、Visaはこちらでも出遅れた感が否めない。

しかし大きな救いは、売上高と発行枚数では世界王者から転落したものの、本当の意味での「国際カードNo.1」は、いまだVisaであるという不動の事実だろう。

英FinTechサイト、Finextraなどは、Union Payの記録的売上高や発行枚数は中国人口の多さに起因するもので、中国以外での売上高はたったの0.5%である点を指摘。

Visaの50%、マスターカードの30%とは次元が異なる。つまりUnion Payはあくまで自国内での規模が巨大化しているだけで、国際水準という観点から見た場合、Visaやマスターカードは勿論、そのほかのブランドにも大きく引き離されているということだ。

「自国における成功も、そもそも競争相手がいなかったからではないか」という声も聞かれる。

今後マスターカードやVisaがライセンスを取得し、中国市場に乗りこんでいくと想定すると、熾烈な顧客獲得戦が繰り広げられるのだろう。

Union Payが浸透しすぎていて、他ブランドが受け入れられにくい環境ではあるだろうが、欧米ブランド品の所有をステータスと見なす消費者が多いのも事実。

米対中の決済対決は、混戦模様となりそうな気配が濃厚だ。( FinTech online編集部

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