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(写真=Thinkstock/Getty Images)

ソフトバンクグループ <9984> は7月18日に英国半導体設計大手のARMを約3.2兆円で買収すると発表し、世間を驚かせた。同社は、ARM有する独自基盤技術がIoTにおいても優れた能力を発揮すると判断し、買収に踏み切ったと説明した。

次の大きなトレンドになるとみられる「IoT」の可能性を大きく評価し、賭けに出たと見てもよさそうだ。

背景にあるとみられるのは、英国のEU離脱(ブレグジット、英国のEUからの離脱)によるポンド安。大幅な円高をチャンスととらえて、勝負に打って出る投資家も孫社長以外にもおり、見るべきモノもありそうだ。

ブレグジットで大幅なポンド安が進行

円=ポンドの為替をまずはおさらいしておこう。英国が国民投票でブレグジットの選択した6月23日より以前には、1ポンド=150円~160円程度で推移していた。実質的にブレグジットが決まってからは、1ポンド=130円~140円程度で推移しており、一気に20円ほども円高に振れた計算だ。

ちなみに、ソフトバンクが買収を公表した翌日の7月19日には1ポンド140円43銭まで持ち直している。同社は今回の買収額の算定に際し1ポンド136円のレートを適用。ドル=円、ユーロ=円相場が安定しており、仮に買収資金の全額を円で調達すれば10%以上の投資コストを節減できる計算だ。

孫正義社長はARMの買収については「あらゆるモノがネットにつながるIoTが進めばソフトバンクのインフラとARMの製品がシナジーを持ってつながることになる。ARMはセキュリティ・サービスも提供しているので、そういう部門とソフトバンクのシナジーが発揮されるかもしれない。」と述べ、あくまで長期的な視点から投資判断を下したと強調している。

また、「私はパラダイムシフト(枠組み転換)の入り口で投資をしてきた」とも発言している。今回の投資はインターネット、モバイルネットと同じようなパラダイムシフトが起きる中で行ったもので、ちょうどそのタイミングでブレグジットによる大幅なポンド安に遭遇したという説明だ。

他方で、孫社長はブレグジット後にARMの株価が15%程度上昇しているため、ポンド安のメリットは相殺されニュートラルだとも述べている。ただ、為替差益がなければ15%高い買い物をすることになった訳であり、ブレグジット騒動で一気にポンド安が進行したことも踏まえて、投資を決断した可能性も十分にあるとの見方もできる。