超低金利時代といわれて久しい日本では、銀行に100万円預けても普通預金の利息は年間10円にしかならない。「何か良い手立てはないものだろうか……」そう考えている人も少なくないことだろう。

2016年は年初から円高が進み、6月に英国のEU離脱が国民投票で過半数を取った直後には、ポンドが急落。ドル円も一時100円割れの水準にまで到達した。その後7月中旬にかけて円安にはなっているものの、短期では経済・為替相場が今度どうなっていくのか、先行きは不透明と言わざるを得ない。

そうした中で注目されるのが「外貨預金」だ。ただ、外貨預金と一口にいっても運用の仕方は様々である。読者の中には、具体的にどのように始めれば良いのか、迷っている人も多いのではないだろうか。今回は、初心者が「外貨預金を賢く活用」するための3つのポイントを紹介しよう。

為替差益を狙うか、高金利通貨で金利重視の運用をするか

初めて外貨預金を検討する際のポイントは以下の通りである。

(1) 普通預金、定期預金どちらにするか。
(2) どの通貨にするか。
(3) どの銀行に預けるか。

以下、順を追って解説しよう。

まず、(1) については2つの考え方がある。日々変動する為替市場を見ながら、タイミング良く収益を得る「為替差益を狙う」方法と、安定的に高い利率で資金を増やす「高金利を享受する」方法である。

為替差益を狙うケースでは『普通預金』がお勧めである。

たとえば、2012年12月26日の安倍政権発足時の米ドルは、1ドルあたり約85円であったが、昨年2015月6日5日は約125円、そして2016年7月14日現在は105円近辺で推移している。仮に2012年12月に85万円で1万ドル預けると、昨年6月には125万円に上昇、その後現在にかけて105万円にまで低下した計算となる。

為替は日々変動しており、ときには短期間で大きく動くこともある。そうした為替の動きに注意を払いながら「タイミング良く」取引するには、同じ外貨預金でも期間を定めた「定期預金」より、情勢の変化に応じて自由に出し入れできる「普通預金」のほうが有利であることが分かるだろう。

ただし、「タイミングが悪い」と大きな損失を被ることにもなりかねない点には注意が必要だ。『普通預金で為替差益を狙う』には、為替の動きを見ながらタイムリーに判断できるよう、常にアンテナを張っておかなくてはならない(※往復の為替手数料、金利は銀行により差があるのでここでは考慮していない。為替手数料については、後ほど述べることにしよう)。

一方、「高金利を享受する」方法はどうだろうか? 世界には日本よりも遥かに金利の高い国がたくさんある。

たとえばあるネット銀行の金利で比較してみると、1万通貨未満1カ月定期の円金利は0.02%であるが、NZドルは1.50%、豪ドルは1.20%である。1年定期では円が0.15%、NZドル2.00%、豪ドル1.50%と期間を長くすると利率も高くなる。1年定期で比べるとNZドルは円よりも13倍も利率が良い点にも注目したい。

『高金利通貨を定期預金で運用』する方法は、日々の為替の動きよりも「高い金利で資金を増やす」ことを重視したものである。預入れた外貨に利息が上乗せされることで元本を増やし、預入時よりレートが円安に動いたタイミングで円を買い戻すことで利益を得ることができる。忙しくて常に為替の動向に注意を注ぐことが難しい、タイムリーな取引の判断は荷が重いというのであれば、期間を定めて高金利のメリットを享受する「定期預金」のほうがお勧めである。

ただし、「定期預金」であっても大きく為替が動くと、受取れる利息以上に為替差損が出て大きく元本割れする可能性もあるので、その点については「普通預金」と同様に注意が必要だ。タイムリーに取引をして為替差益を狙う「普通預金」を選ぶか、高金利を享受できる「定期預金」を選ぶか、自分がイメージする取引スタイルから検討してみてほしい。

どの通貨を選べばいいの? 高金利通貨の魅力

次に (2) の『どの通貨にするか』について検討してみよう。これは(1)で「普通預金」「定期預金」のどちらを選んだかと大きく関連する。

「普通預金」で取引するなら、初心者には米ドルがお勧めだ。米ドルであれば、ニュースや新聞で頻繁に取り上げられているため為替の動きも把握しやすく、また今後の動向も数多く予想されており取引の判断材料を比較的手軽に入手できる。

「定期預金」であれば、もちろん注目すべきは高金利通貨だ。例えば先ほども例に挙げたネット銀行では、豪ドルの1年定期預金の金利は1.50%である。その金利で1万豪ドルを1年間定期預金に預けると150豪ドルの利息を得ることができる。仮に預入れ時と1年後に円を買い戻す際のレートが同じ1豪ドル=80円だった場合、80万円の預入れで1万2000円の利息を受取れる計算となる(※為替手数料はここでは考慮しない)。同じくNZドルは2.00%で200NZドル、米ドルは1.00%で100ドルと円定期と比較するとかなり高い金利が設定されている。もちろん為替差損が生じる可能性はあるが、金利の魅力は大きいと言えるだろう。

外貨預金は「どの銀行」に預ければいいのか?

最後に検討したいポイントが、(3) 『どの銀行に預けるか』である。

具体的な例をあげると一般的な窓口での銀行取引は米ドルの場合、手数料は片道1円である。メガバンクの中には、ネット取引を利用すると片道手数料が25銭と格安となるサービスを提供しているところもある。

しかし、ネット銀行では上記のメガバンクを、さらに下回る手数料を提供しているところもある。たとえば、住信SBIネット銀行やソニー銀行は『15銭』である。

具体的に計算してみよう。たとえば、一般的な窓口での銀行取引で1万米ドルを預けた場合、1米ドル105円の為替レートであれば、105円+為替手数料1円=106円となり必要な金額は106万円となる。これが、手数料が『15銭』の住信ネット銀行では、105円+為替手数料15銭=105.15円となり105万1500円で、両者の差は8500円となる計算だ。米ドルから円に戻す際にも、同じように手数料がかかるので、往復で1万7000円もの差が生じることになる。

上記の通り、ネット銀行はメガバンクと比較して手数料が安いのが特徴である。

加えて、銀行によって金利水準も異なる点にも留意したい。外貨預金を検討する際、特に初心者はメガバンクに比べてネット銀行の金利が高めに設定されていることを見落としかねない。少しの金利の差が、長期的に見ると大きな差となることも考えられる。

外貨預金を始める際には、手数料の安さと、金利水準の高さで有利なネット銀行がお勧めである。

銀行のキャンペーンも活用しよう

以上が、初めての「外貨預金」を検討する際のポイントであるが、このほかにも銀行では様々なキャンペーンを実施しているので積極的に活用したい。

たとえば住信SBIネット銀行では、7月20日から9月30日までの期間限定で新規に外貨口座(普通、定期ともに対象)を開設し、合計10万円以上を円から預入れ(買い付け)した人に1000円相当のポイントをプレゼントするキャンペーンを実施する。対象通貨は米ドル、豪ドル、NZドル、南ア・ランドといずれも金利の高い人気通貨だ。この機会にキャンペーンを利用して、外貨預金を賢く運用したい。

ともあれ、どんな運用でもリスクをきちんと理解できれば、決して怖いものではない。まずは、少額からでも自分に合うスタイルで始めてみてはいかがだろうか(文中の金利はいずれも住信SBIネット銀行の7月15日時点のもの)。(ZUU online 編集部)