2014年から9000人の人員削減、200件の店舗閉鎖を実施した英大手ロイズ銀行が、新たに3000人の大量追加リストラを発表した。リーマンショックの08年以降で換算すると、すでに総計4万5000人を解雇していることになる。

主な要因は「顧客の銀行離れ」と「低金利」とされているが、そこに「Brexitの影響に対する懸念」が加わったことが、今回の追加解雇の引き金となった。

ロイズ銀行は前年比2倍以上の税前利益をあげているが、実質利益は5%減。コスト削減でBrexitの非常事態に備え、余力を温存する構えだ。

ホルタオソリオCEO Brexitによる成長鈍化を警告

1955年にロンドンで設立されたロイズ銀行は、バークレイズ銀行やナットウェスト銀行などと並んで、英国を代表する大手銀行だ。リーマンショック翌年の2009年には、英国政府が救済策として、国民の税金を投じて43.4%の株を買い上げた(現在は9%を保有)。

2013年まではロイズTSB銀行として事業を展開していたが、現在はロイズ銀行を一般消費者バンキング部門、TSBをリテールバンキング部門に統括している。

顧客からの評判は英銀行の中で長年トップクラスだったが、今年2月には支払い保障保険(失業や事故、病気など、予期せぬ事情で負債や貸付の返済が不可能になった場合の肩代わり保険)関連のスキャンダルが発覚し、顧客の信用が低下。

そうした逆風にも負けず、2016年上半期報告では税前利益が25億ポンド(約3392億985万円)と、12億ポンド(約1628億2072万円)だった前年同期から2倍以上の伸びを見せた。

しかし皮肉なことに、2011年から2015年にかけては総額160億ポンド(約2兆1650億円)を突破していた支払い保障保険の支払い金が、今年に入って著しく減少したことが、大幅な利益増加につながったという。

その一方で実質利益は落ちこんでおり、ベーシスポイントも昨年の200から160に引きさげられた。

ロイズ・バンキング・グループのアントニオ・ホルタオソリオCEOは、「今後Brexitの投げかけた波紋が表面化し、利益成長が減速する」と予測。

ロイズ銀行が数々のネガティブ要素に打ち勝つだけの実力、資力を備えた金融機関であることに、同意を示す専門家は多いが、それだけに大量の追加リストラが英経済に与える影響を、懸念する声も高まっている。