ネットユーザーのコメントは常に変わらず

低レベルのコメントは「安部晋三が悪い」「日本軍国主義の残滓(ざんし)が表れた」などの論調で、いつもと変わらない。大衆の間では安部・小泉=悪、小沢・福田=善、イメージが浸透している。中国にとって禍をもたらすもの、福をもたらすもの、という陰と陽の感覚らしい。しかし両者の政策上の違いなどだれも知らず、単に日本非難の枕言葉に過ぎない。

最も低劣なのは、適性国だからとこの種の凶悪犯罪に喝采を送る類のものだ。今回も散見されている。これに耐えられず、諭そうと試みる中国人も確かに存在する。代表的なコメントを紹介する。

網友(ネットユーザー)たちは、南海仲裁のもたらした愛国的情緒を、アメリカ製品、日本製品などの排斥に当ててはならないし、人民の怨恨に転化させてはならない。まして障害者殺人などという民間悲劇に拍手を送ってはならない。

「愛国」は理性と道義を基礎とすべきである。民間の悲劇は、いつ我々の身辺に出現しないとも限らない。弱者を刃物で屠るといった暴力はあってはならない。断じて反人類意識形態の色彩を帯びてはならないのだ。

ただしこの常識人も南シナ海仲裁案については「紙屑」という前提のようである。

もう1つは「世界で最も安全な国とされる日本でなぜ」というコメントだ。日本を多少なりとも知っている人はだれしも思うだろう。中国は危険なところだ。常に自己主張と交渉を繰り返し、安全地帯を確保しなければならない。他人は信用できず、攻撃やごますり、言い訳など闘いの連続で息つくヒマもない。権力はいつ牙をむいてくるか分からないし、医療、食品、自動車、果ては空気に至るまで、何もかも危険がつきまとう。その反対に、日本にはオアシスのようなイメージがあった。

中国の犯罪率と凶悪犯罪

その中国は自身の事を、全世界における最低犯罪率国家の1つと位置付けている。裁判所で審理される案件は毎年40万件余りで、刑事案件は2万前後に過ぎないというのがその理由だ。再犯率も6〜8%と極めて低い。

これに異論をさしはさむのは素人でも容易である。それは置くとして、ここでは個別の凶悪犯罪を中国10大凶悪殺人案件というページから5件ほど紹介しよう。

1 周克華−重慶市で6件の銃による殺人事件に関与。2012年8月警察の銃撃で死亡。
2 林過雲−香港の連続殺人犯。82年に女性4人を殺害。死体を撮影。終身刑。
3 馬加爵−雲南省で2004年2月13日から3日で4人を連続殺人。同年6月死刑執行。
4 龍治民−陝西省で1985年、妻子と共謀して48人を殺害。中国最大の凶悪事件。
5 勒如超−石家庄で2001年、恋人を追いかけ刺殺。爆発事件を起こし108人が死亡

常識人の言う通り、悲劇はいつ我々の身辺で起きないとも限らない。このリストのように、中国でもすでに実証済みだ。反人類の色彩を拡散させてはならない。各国の課題は共通である。(高野悠介、現地在住の貿易コンサルタント)

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