役割分担が著しいアメリカの不動産業界

日本では、中古不動産の売買は、売り手と買い手が契約書に署名捺印した時点でおおむね終わりです。一方、アメリカの中古不動産取引は、売りと買いに異なるエージェントが関わります。

売り手のために物件情報を市場に出すのが「セラーズ・エージェント」(リスティング・エージェント)、買い手のために探すのは「バイヤーズ・エージェント」(セリング・エージェント)が担います。エージェントの資格制度は各州で異なりますが、マナーやコンプライアンス教育は、NARや全米不動産ライセンス協会(ARELLO)が行います。

契約の際の仲介手数料は売り主だけが支払い、売り手、買い手のブローカーが半額を受け取ります。契約の法律手続きや支払い、登記は、中立の立場で取引を促す専門家「エスクロー」が代行し、その費用は売り主、買い主で折半します。

このほか、建物調査の専門家である「インスペクター」が、第三者の立場で土台、屋根、電気系統、水回りなどを調べて問題点を指摘します。インスペクターを雇うかどうかは買い主次第ですが、仲介手数料がかからない分、インスペクターに費用を充てることができます。これが「住み続ける」ことを支える仕組みの一つです。

日本もグローバル化は避けられない

104万人(2015年)のメンバーから成るNARは2011年、国際不動産物件情報検索サイトを始めました。2015年から日米不動産協力機構(JARECO)と協力し、株式会社ネクストが日本の物件を載せ始めており、掲載は46か国410万件、アメリカ以外のユニークビジターは月100万件になりました。日本の不動産が海外の投資家に買われる、あるいは日本の投資家が海外の不動産を買う可能性は、今後さらに高まるでしょう。

グローバル化に合わせた中古不動産市場の活性化が今、求められています。(提供: TATE-MAGA

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