日本人が好んで使用する「カタカナ英語」。外資系企業やIT企業の活躍にともない、ますますボキャブラリーが拡大しています。
ただ、海外在住歴が長い人間にしてみると、ところどころ「えっ?」と思う用語が混じっています。ITやFinTech系のウェブサイトを閲覧していると、日本語で書かれているはずなのに日本語で読んだ気がしないことも多々ある今日この頃です。
そこで英国在住歴24年目になる筆者が、海外在住者として「これはさすがにヘンなのでは?」と思うカタカナ英語を紹介します。
「それ、日本語で言った方が早くない?」と思う言葉
まずはビジネスシーンで日常的に使用されている一般ビジネス・カタカナ英語。
「シェア(共有)する」「ペイ(決済)する」あたりは、日本語でいうよりもスムースな響きで、定着した理由が何となくわかるような気がします。
一方、「コミット(委任、関係、約束)する」「クリティカル(重大)な」「オーソライズ(認証)する」といったレベルまで進むと、次第に違和感が生まれてきます。
耳がすんなりと受けつけてくれず、何だか不自然な、相手が無理をしているような印象すら受けます。その理由について思いめぐらしてみると、やはり「日本語でいった方が早くて確実ではないか」という一点に尽きます。
高度なものでは、「アジェンダ(議題、課題)」「コンセンサス(合意)」「カンファレンス(協議、会議)」など、どう贔屓目に見ても日本人にとっては非常に発音しにくいであろう単語が、ポンポン飛び出してくるから驚きです。
IT用語じゃないの? ギクリとした「バッファ」
海外のビジネスシーンでさすがにこれは通用しないな、と思ったカタカナ語もあります。
筆者は日本の企業の方々と仕事の打ち合わせをさせて頂いている際、ギクリとしたことは何度かありますが、特にまったく意味がわからず、後程Googleでコッソリ調べたカタカナ英語の代表は、「バッファ」です。
仕事の進行具合について話していた時に、「正直、こちらにあまりバッファがないんですよね」といわれ、「何故そんな唐突にIT関連のネタに飛ぶのか」と、会話が急にギクシャクした記憶があります。後に日本では「余裕、援護」といった意味合いで使用されていることを知りました。
確かに本来の英語の意味は「緩衝物」ですが、英語圏ではそれほど日常的に使われる単語ではなく、少なくとも筆者にとってはIT用語として定着していました。
また「アポ」は「Appointment」を勝手な省略形なので、英語を使うシーンでそのまま「Appo」としてしまうと、映画「スターウォーズ」のコマンダーキャラのことになってしまうので要注意。同じく、「キャパ」は「Capacity(容量)」、「コラボ」は「Collaboration(協力)」の日本風省略形です。
もはやユーモアの域「リスケ」「モチベ」
個人的にユーモアを感じてしまうカタカナ英語としては、「リスケする(利助?)」や「モチベがあがらず(餅兵?)」などがあります。
どちらもかなり強引な日本風省略形ですが、利便性と語感のよさから、ついつい口にしてしまいたくなるのかもしれませんね。その気持ちはわかります。
"上級者"になると、「あまりにもジャスト・アイディア的だったので、ペンディングします」や「ニアリー・イコールになればと思っています」など、カタカナ英語の域を超えて、独自の言語でビジネスを進めてしまう強者もいるようです。
カタカナで良いと思う「ポートフォリオ」「クラウドソーシング」
一方、カタカナ英語でもよいと感じるのは、「ポートフォリオ(投資商品の組み合わせ)」「クラウドソーシング(群衆委託業務)」などでしょうか。日本語でいうと非常にクドイ感じがします。
また日本語には訳しにくいものもあります。例えば「Closed Network」は直訳すると「閉鎖型情報網」。正直何のことだがサッパリわかりません。対義語である「Open network(公開=オープンネットワーク)が定着してしまっているので、もう片方だけ「閉鎖型ネットワーク」と日本語を混ぜてしまうのも、若干不公平な印象もあります。
キレイな日本語を引き立てる目的で
言葉はあくまでコミュニケーションツールなので、「だから使ってはいけない」ということはありません。
ただ、もしこれから海外のビジネスシーンで活躍したいと思うのなら、乱用を避け、綺麗な日本語を引き立てる目的で使い分けて行った方が得策ではないでしょうか。
アレン琴子
英国在住24年目。金融から子育てまで様々な分野を「日本人の視点」から観察。日々、ミックスカルチャー要素を意識した執筆活動に励む。B型の人々に「絶対B型でしょう」と確認されるA型
(提供: DAILY ANDS )
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