香港

平成26年5月20日に三菱東京UFJ銀行は全額出資子会社である三菱東京UFJ 銀行(中国) 有限公司を通じて香港市場で人民元建て債券(点心債)を発行することを発表しました。総額163億円の調達を見込んでおります。中国の金融機関による香港でのオフショア人民元建て債券発行にあたっては、中国人民銀行及び中華国家発展改革委員会に許可をもらう必要がありますが、三菱東京UFJ銀行は邦銀として初めて発行を許可され、かつ、同時に今回の起債によって調達した資金を中国本土に還流することも許可されたとのことです。

中国政府は為替相場において人民元高になることを懸念して外資系企業がオフショア市場で調達した人民元を中国本土に還流することを制限してきました。アメリカなどは人民元の切り上げを求めていますが、中国政府はなかなか動こうとはしていません。そのような状況の中で三菱東京UFJ銀行の今回の起債及びその還流は注目に値します。習近平政権は金融制度について「人民元レートの市場化メカニズムの改善」「金利市場化の加速」等を挙げ、金利、為替、資本取引の段階的自由化を加速する方針を打ち出しています。今までは規制一辺倒であった中国ですが、これからは市場自由化が少しずつ加速していくかもしれません。その第一弾が今回の起債と見てよいのではないでしょうか。

このように金融政策が変わったこと(金融政策に限らず、土地制度や戸籍制度についてもいろいろ変化があります)の背景には、中国の経済成長の転換時期が近いことがあるのではないかと考えています。中国の人口は2015年には減少すると予想されています。今までは人口増加を背景に規制路線を取ってきましたが、人口減少が始まる中では、高い経済成長を維持するには、経済の効率化合理化を考えていく必要があります。ただ、問題も少なからずあります。住宅市場の過熱、生産能力の過剰、シャドーバンキング、地方政府債など、習近平政権がこれらの問題にどう取り組んでいくのか注視したいところです。

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Photo: Hong Kong by David Leo Veksler