11月の大統領選本戦に向けて、「トランプVSクリントン」が加速している。Brexit(英国のEU離脱)でマーケットはショック状態に陥ったが、大統領選の結果次第では、市場は再び変動する可能性も否定出来ない。両氏の支持率は拮抗していたが、8月4日時点ではクリントン氏がトランプ氏を10ポイントほどリードしている、と米FOXニュースが伝えている。

政権の功績……株価が高いと与党が継続支持される?

大統領選挙は先が読みにくいものではあるが、株式市場の相場を読み解くと、どちらの政党が有利かということがわかるという。

株価が高いときは現政権の政党が有利、今回の場合で言えばクリントン氏が有利ということだ。1928年以降、22回の大統領選挙があった中で、19回にわたりその行方を正確に反映させているという指標がある。それがS&P500である。11月の本選を前に数カ月の間、上昇基調が続いている場合には、与党の勝率が9割弱になると、ブルームバーグでは紹介している。

株価が堅調に推移し、皆が現状に満足している状況の時は、市場関係者はもちろんのこと、一般市民も変化を嫌う傾向がある。支配政党が変わると、経済政策が変わるリスクを伴うためだ。米国は投資教育先進国で、資産運用をしている市民の割合が多く、マーケットの動きに敏感である。

統計学上でも、GDPの成長率がよく、消費者指数の伸びが小さいときは、金融市場が上向きである証拠なので、現政権が有利というデータがある。S&P500の値動きと合わせると、現時点では民主党が有利、ということが言えそうだ。

黄金時代を率いた共和党の底力求む?

近年の大統領は、民主党のビル・クリントン氏、共和党のジョージ・W・ブッシュ氏、民主党のバラク・オバマ氏と2期8年ごとに共和党と民主党が順番に政権を担っている。米国大統領は「2期8年周期」と思われがちだが、実際はそうではない。

1970年代~80年代は、ほぼ共和党出身者が大統領に就任している、いわば共和党の黄金時代だ。当時、戦後の復興などに伴う経済成長に、陰りが見え始めた頃である。ニクソン大統領からレーガン大統領に代が変わり、規制緩和と財政拡張策によって、インフレ率が下がるなど、国民が直接効果を実感できたのだ。

歴史を振り返ってみても、株価が市場最高値を更新する状態のなか、民主党から共和党へと変換することは考えにくい。しかし、今の米国には経済には満足していても、別の不満を抱く国民が多いため、大統領選挙を複雑なものにしている。格差への不満と、一昔前の強い米国への郷愁が、その根底にあるのだ。