マドゥCEO「ミレニアル世代以降には、従来の信用評価が無意味になる」

例えばJubaoで融資を申し込む場合、モバイルチャットサービス「WeChat」や中国版Twitter「Weibo」を通して、Jubaoに自分のSNSデータへのアクセス権を提供する。

融資側は申込者のプロファイルやステータスをSNSでチェックし、私生活や経済状況を推測するという仕組みだ。

しかしSNSの世界はあくまでバーチャルな空間であり、仮に正真正銘のプロフィールや実生活を公開していたとしても、どこまでが正確な情報であるかは、公開者以外には知りようがない。

コンサルタンシーEY(アーンスト・アンド・ヤング)のアジアFinTech部門担当者、ジェームス・ロイド氏は、「融資審査などには財務歴が最重要視されるべきだ」と、SNSのデータを信用評価の基準として代用する危険性を訴えている。

確かに、リスクを測定するためのデータがリスクを生みだしかねないようでは、審査自体がまったく無意味になってしまう。

対照的にSNSデータサービスの米先駆け企業、Socureのスニル・マドゥCEOなどは、P2Pが盛んなうえに「WeChat」が爆発的な人気を誇る中国で、SNSを利用したリスク測定が主流になるのはごく自然な流れであり、今後さらに間口が拡大されると予測している。

またミレニアル世代が労働力の8割に達すると見こまれている2028年には、従来の信用評価システム自体が退廃している可能性も高いという。

「ミレニアル世代の多くは、車を買う代わりにUberなどの配車サービスを利用し、家を買う代わりに賃貸ですます」合理性を備えていることから、財務歴を基盤とする必要性が希薄になっていくかも知れない。

それにしてもSNSのデータを鵜呑みにして、いくらまでなら見知らぬ他人に貸すことができるだろうか。

FinTech online編集部

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