リオ五輪開幕で沸いていた8月7日、「ブラック企業と闘う望(のぞみ)基金」が設立されたのをご存じだろうか。

これは、過労自殺をした居酒屋「和民」の元社員、森美菜さんのご両親が、ブラック企業などで不当に働かされている人たちを支援しようと、ワタミ側からの和解金を充てて起ち上げたものだ。素晴らしい活動であり、多くの方の救いになってほしいと思う。

長時間労働やパワハラは人の心を壊す。悲しいことに自殺する人もいるし、自殺しないまでも働けなくなるほどに人を追い詰める。断じて許されるものではない。

一方で、カウンセラーとして仕事のストレスに悩んでいる方と会うと、「仕事のミスを注意された」「気の合わない上司がいる」といった、どこにでもあるようなことに対する不満も多く聞かれる。

これは企業側の責任ではなく、被害を訴える側のパーソナリティーの問題でもある。とはいえ、休職されるのもハラスメントだと訴えられるのも、企業にとっては余計な負担となるので、放置するわけにはいかないだろう。

今回は、この問題に企業が適切な対策を立てられるよう、不満を訴えやすいのはどんなタイプか紹介する。

人間関係の◯◯を調整できない

社会に出れば出会う人の年齢も性格も様々。気の合う人とは親密に、そうでない人とも、それなりに当たり障りない関係を築くことが求められる。しかし、こうした人間関係の濃度を調整することが苦手な人が増えている。どこにでもあることで不満を訴えやすいのもこのタイプだ。

このタイプは、同年代の気の合う人と問題なく付き合えてきたため、人間関係やコミュニケーションに対して、苦手意識を持っていない。それ故、職場でうまくいかない相手がいても、自分に問題があるとは考えず、職場環境のせいにして不満を訴える。

こうした傾向は、幼い頃に近所のおじさん、おばさんに代表される「斜めの関係」を経験していない人ほど強く表れる。学校で仲のいい友人とばかり一緒にいたという人も同様である。どちらも、価値観の違う相手と少し緊張しながらも関係を作る「駆け引き経験」が不足しているためだ。

会社にぶら下がる依存型

2つ目はキャリア形成の意識が希薄なタイプが挙げられる。会社に貢献しようという意識はなく、10年後、社会に必要とされる人材であろうとスキルアップを考えることもない。与えられた仕事をこなすだけで、会社は生活を保証してくれる場所とばかりに依存しているこのタイプにとって、「嫌なら会社を辞めればいい」という発想はない。不満を訴え、苦手な相手を自分の周りから追い出すことが、自分の生活を守る唯一の手段なのである。

そのため、何かあると悪びれることもなく積極的に不平不満を訴えるので気をつけたい。同時に、このタイプの部下がいる場合には、自己実現や社会貢献といったレベルでなくて構わないので「会社にもしものことがあっても食いっぱぐれないためにはどうしたらいいか」くらいは、日頃から考えさせるようコミュニケーションをとっていくことが必要だろう。