仕事人間の持つ厄介な思考パターン

ここまでは社会人として「甘い」タイプを紹介してきたが、実はその真逆にも危険がある。真面目で熱心に働く、仕事人間タイプのことだ。このタイプは、「社会人ならこうすべき」「上司はこうあるべき」という特徴的な思考パターンを持っていることが多い。

この「すべき思考」と言われる考え方の癖を、他人の言動にも適用してしまうと厄介(やっかい)なことになる。思い通りに動かない相手に怒りを募らし、不満をぶちまける。成果を上げている者の言葉は、なかなか無下には扱われないので、知らずに増長し、他罰的になってしまうのだ。

他にも、一度や二度の失敗で「あいつはダメなやつだ」とレッテルを貼ったり、少し返事が小さいだけで、相手が自分に不満があるなどと、根拠もなく思い込みで勝手な結論付けをする癖を持つ人も同様である。

当然だが、仕事で成果を上げている限り、どんな考え方を持っていようと個人の自由であるはずだ。しかし、このタイプは多様な価値観を受容するのが苦手だ。根底では、周りに認めてほしいという願望が強いのも特徴なので、職場にこの手の人がいる場合は、真っ向から間違いを指摘せず、相手の努力を認めてあげることにも留意してほしい。また、趣味がなく、仕事以外に居場所がないことが多いので、息抜きの場に連れて行くのも効果的だろう。

最近では、和解金などを目当てにわざとパワハラだブラックだと騒ぎ立てる不届者も出てきているようだが、その多くは、社会にうまく適応できないが故の叫びだと、私は思う。健全な職場環境を守るためにも、また、「ブラック企業と闘う望(のぞみ)基金」のような支援が、本当に必要な人に届くためにも、上述の3タイプの抱える心の声に早く気付き、適切な対処をとってほしい。

藤田大介 DF心理相談所 代表心理カウンセラー
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