年々激化する中学校受験。中学校から私立に行くとなれば教育費の負担は大きくのしかかるが、中学校受験を希望する家庭が増えているのが実情だ。
この受験戦争、来年から少し風向きが変わるかもしれない。政府が、一定の年収未満の世帯も学費の高い私立中学校を選択できるように、授業料の補助を来年度の予算の概算要求に入れるというのだ。年間10〜14万円、正直何が変わるのだろうか。
補助金は年収590万円未満の世帯から
授業料の補助金が受けられる対象は、2017年度入学する児童・生徒がいる年収590万円未満の世帯。年間1人当たりの補助額は、世帯年収が250万円未満は14万円、250万円以上350万円未満は12万円、350万円以上590万円未満は10万円を補助するべく、2017年度予算の概算要求に12億8000万円盛り込む。
学校に申請後、授業料から補助額を差し引いた金額を支払うというものだ。私立高校の授業料を一部補助する制度はあるが、私立小・中学校の補助制度は初めてとなる。文科省は私立小中学校に通う世帯の負担を軽減することを目的としているが、年間10万~14万円の補助額はどれくらい影響があるのだろうか。
実際に私学に子供を進学させている世帯年収は?
筆者のもとにマネー相談にきた中で、子供を私立中学に進学させている方々の世帯年収を紹介しよう。
Aさんの世帯年収は750万円。1歳違いの子供が2人いるが、2人とも私立中学に進学させている。第一子の中学校入学前に住宅ローンを完済していることで、年間かかる教育費用はやりくりできていた。
Bさんの世帯年収1500万円で同じく子供が2人いるが、第一子の長男は小学校から私立に通わせ、第二子の長女は公立小学校に進学させていた。学費もだが、塾代にかかるお金、また意外と馬鹿にできないのが長男のママ友とのランチ代、ランチに着ていく洋服代、バック代などにかける支出が多いのだ。子供2人を私立小学校に通わせる余裕はないという。
相談を受けていると、世帯年収1000万円以上など、年収が上がるにつれて小学校受験、中学校受験を検討する世帯は多い。
私学に進学させるのにどのくらいの金額が必要か
私立小学校、私立中学校それぞれにかかる費用を文部科学省の平成26年度「子供の学習費調査」よりみてみよう。
私立小学校
1年間の授業料はじめ、修学旅行、遠足、給食費、教材費、通学費な学校にかかる教育費は88万5639円になる。ほかに学校給食費が4万6089円、習い事や塾代などの学校外活動費は60万4061円となり、学習費総額は153万5789円となる。公立小学校に比べると学習費の差は4.8倍となる。