「マンション建て替え円滑化改正案」が閣議決定~衆議院可決
2014年2月28日、「マンション建て替え円滑化改正案」が閣議決定されました。改正内容を要約すると、耐震性が低い古いマンションが建て替えしやすくなります。改正の狙いは、数十年以内に予測される第2次関東大震災や東南海地震等の巨大地震に備えるため、震度6以下に置けるマンション倒壊を減らすことです。改正案は同年5月22日に衆議院では可決されており、よっぽどの事態が生じなければ参議院でも今国会中(同年6~7月)可決されて改正案が成立する見込みです。
①「マンション建て替え円滑化改正案」の具体的な内容
今回の改正案では、マンションを建て替える場合、区部所有者(入居者)の80%以上の合意を持ってマンション全体を買い取れる様になります。1981年以前の旧耐震基準で建てられた老朽マンションのうち耐震性に支障があるマンションが対象になりますが、国土交通省の話では全国のマンションの約20%が1981年以前に建てられており、耐震性に支障がある割合も結構高い様です。
具体的には、マンションを売却するための組合を結成して、区部所有者の80%以上が合意する場合、組合が全ての区部所有者から一括購入して、それを一時的にデベロッパーに売却した後、デベロッパーが新しく建て直して、それを組合が買い直します。その後、(改正前と異なり)区部所有者は必ずしも組合から買い直す必要がありません。これが改正案の最大のポイントです。また、改正案では、建て替えに伴い一時的に住む賃貸物件を借りるのに必要な引っ越し費用や家賃も補償する規定になっています。その他、一定の条件の下、建て替え後の容積率を緩和できる規定も設けられました。
②どの様な現象が起きるのか?
旧耐震基準で建てられた老朽マンションのうち建て替えられる件数は年1~2%に留まっていましたが、改正後は増加すると予測できます。と言うのも、改正前は一括売却するには「区部所有者全員の合意が必要」と言う見方もあってハードルが高かったもの、新制度では80%以上に緩和されるため、建て替えしやすくなると言われます。耐震性に支障があるマンションに限られますが、改正前と比較して短期間で建て替え可能な上、マンションの区部所有者は売却時の資金を先に受け取れる様になるため、適用対象となるマンションでは一括売却を選ぶ事例が増加するはずです。
今回の改正案に関して、不動産投資家の間では興味を持っていないと言われますが、株式投資家の間では興味を持っており、不動産に関係する株価が上昇しているため、そのうち不動産投資家も気付くと思います。