株式投資型のベストETF 低コストの努力が光る
米大型株のベストETF
米大型株でベストETFに選ばれたのは、Schwab U.S. Broad Market Index ETF (ティッカー:SCHB)だ。同ファンドは、経費率が0.03%、経費は貸株による収入でほぼ吸収でき、1万ドルの投資に対して過去10年でかかったコストは、23ドルだけだった。
Schwab U.S. Broad Market Index ETF (SCHB)10年コスト23ドル
Vanguard Total Stock Market (VTI) 同48ドル
Schwab U.S. Large-Cap (SCHX) 同55ドル
iShares Core S&P Total U.S. Stock Market (ITOT) 同77ドル
Vanguard 500 (VOO) 同80ドル
以上5ファンドがベストETFに選ばれた。運用資産残高トップのステートストリートのSPDR S&P500(SPY)は経費率が0.09%と高く、ポートフォリオの貸株利用も制限されており、10年コストは153ドルと高いため、ベストETFには選定されていない。
米中小型株ベストETF
小型株ファンドは貸株料が高いため、貸株収入をうまく得ることで、10年保有のネットコストがマイナスになったファンド、下記4本がノミネートされた。ただ1位のIWCは流動性に対する評価が10段階評価の3と低いことには注意だ。
iShares Micro-Cap (IWC) 10年コスト▲115ドル
Schwab U.S. Small-Cap (SCHA) 同▲95ドル
Vanguard Extended Market (VXF) 同▲13ドル
Vanguard Small-Cap Growth (VBK) 同▲7ドル
必ずしもマイナスコストになるわけではなく、残高ベースで上位にランキングされる、中小型株のファンドのネットコストは、たとえば、iShares Core S&P Mid-Cap(IJH)の場合で、203ドルと通常は高い。
グローバル株ベストETF
海外株ではトップ3は、ネットコストが100ドル以下のファンド3本、下記のFTSE先進国指数連動、世界株指数連動、FTSE世界株指数(除く米国)連動が選ばれた。
Vanguard FTSE Developed Markets (VEA) 10年コスト24ドル
Total International Stock (VXUS) 同75ドル
FTSE All-World Ex-US (VEU) 同85ドル
通常、グローバル株のファンドはコストが高い。たとえば、ETF残高4位の米国以外の先進国(日本を含む)に投資する、グローバルiShares MSCI EAFE(EFA)のネットコストは536ドルと、ベストETFの22倍以上である。
高コストでも分散投資に不可欠なETFも
通貨・商品ベストETFはゴールドETF
通貨・商品のETFに投資する一番の目的は、ドル安のヘッジだ。そのため上位にランクされたのはゴールドETFだったが、ゴールドETFはコストも高く、流動性も6から7と低い。
iShares Gold Trust (IAU) 10年コスト420ドル
SPDR Gold Shares (GLD) 同492ドル
中期債ベストETFは株よりはコスト高
高格付けの中期債券のETFは、レンディング収入が株式ほどは見込めないため、コストは安くない。ネットコスト100ドル程度のファンドは下記3本しか無い。
Schwab U.S. Aggregate Bond (SCHZ) 10年コスト88ドル
Vanguard Total Bond Market (BND) 同100ドル
iShares Core U.S. Aggregate Bond (AGG) 同123ドル
世界の不透明感から金・銀のETF残高が急増
ファンドの魅力はコストだけではない。基本は分散投資が効くかどうかだ。
今年は、G.ソロス氏が金のファンドを買っているのが、話題になった。1〜3月のファンドの開示情報でBarrick Gold Corporation (ABX)の大口所有が、明らかになった。
金に投資しているのはソロス氏だけではない。投資家が、世界の景気不透明感とマイナス金利に備え安全資産を求める中、貴金属ETFへの関心が急速に高まっている。金相場は年初来26%高、銀は37%高となっている。
ワールド・ゴールド・カウンシルによると、金現物の裏付けがあるETFの現物保有量は7月末時点で2270.5トンと、2013年5月以来の高水準だった。また、コメルツ銀行によると、銀ETFへの資金流入額は7月初旬以来の高水準となり、現物保有量が過去最高の2万0670トンに達している。
日本のETFももっとネットコストが下がり、機関投資家や個人投資家が自由に、ポートフォリオの設定ができるようになることを期待している。(ZUU online編集部)