アベノミクスで賃上げ、などと聞いてもあまり給与が上がった実感がない、という人も少なく無いだろう。実際、周囲は昇給しているのかなど、気になっても聞きづらい話だ。
厚生労働省の2015年賃金構造基本統計調査によれば、月額賃金の全国平均は、30万4000円。これを単純に12倍してみると、364万8000円という数字になる。仮に年間の賞与が3カ月分だとすれば、年収額は15倍の456万円と推定されることになる。
大都市圏は30万円超え
この調査で「賃金」というのは、6月分として支給された現金給与額のうち、時間外勤務手当や深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当などの「超過労働給与額」にあたるものを差し引いた額、を意味している。調査自体は2015年7月に行われたもので、各自治体の労働局や労働基準監督署の職員、統計調査員が対象事業所に調査票を使って調査している。
都道府県別に見た月額賃金のトップ10は、次の通りだ。()内は月額賃金を単純に15倍した、「推定年収」である。
1位 東京 38万3000円 (574万5000円)
2位 神奈川 33万5100円 (502万6500円)
3位 大阪 32万7100円 (490万6500円)
4位 愛知 31万5200円 (472万8000円)
5位 京都 30万8800円 (463万2000円)
6位 千葉 30万6000円 (459万円)
7位 埼玉 30万4400円 (456万6000円)
8位 茨城 29万8900円 (448万3500円)
9位 兵庫 29万8800円 (448万2000円)
10位 滋賀 29万2700円 (439万500円)
東京の推定平均年収は570万円強と、全国平均よりも200万円近く高いという結果になった。
滋賀県の年収が高い理由
トップ10のメンバーを見ると、やはり首都圏をはじめ、大都市の経済圏に入る府県が高収入であることが分かる。その中で特記すべきは、10位に滋賀県がランクされていることだろう。同県は京都府と隣接しているとはいえ、大阪を中心とした関西経済圏からは、外れた場所に位置している。
にもかかわらず、月額賃金が29万7000円、推定年収が439万500円と、8位の茨城や9位の兵庫に迫る数字になっているのだ。
東京・大阪に対して、近隣府県は経済圏に含まれる一方で、ベッドタウンの役割も果たしている。東京であれば神奈川・千葉・埼玉、大阪であれば京都・兵庫だろう。大企業に勤務する人が多く暮らしていることも、上位にランキングされる要因だ。