ホームドア
(写真=PIXTA)

東京都港区の地下鉄のホームで前月発生した転落死亡事故を受け、国土交通省が駅ホームの安全性向上に乗り出した。このほどJRと私鉄各社が参加する検討会を開催し、年内をメドに中間取りまとめを行う。転落防止用設備「ホームドア」の設置加速につながる可能性があり、日本信号 <6741> や京三製作所 <6742> など関連銘柄への関心が高まる。

ホームドアのある日本全国の鉄道駅は今年3月末時点で665駅に上るが、1日10万人以上が利用する約250駅での設置比率はわずか3割程度にとどまるという。今回の事故を通じ、都市部の駅における安全性への疑問がクローズアップされた。

政府は東京五輪のある2020年までに全国800の鉄道駅でホームドアの導入を目指す。JR東日本 <9020> は今3月期、山手線の品川駅でホームドアの運用を開始したほか、京浜東北線の赤羽、上野、大井町の3駅で工事に着手し、東京急行電鉄 <9005> も20年をメドに東横線など3路線の全64駅でホームドアの設置を計画している。

ただ、増加傾向にあるホームからの転落事故をできるだけ早期に減らすことは、バリアフリー化や観光立国を目指す日本の立場を踏まえれば喫緊の課題と言える。東京メトロがホームドアを全駅に設置する計画の前倒しを検討しているように、今後は国策の名の下で各社が安全対策を急ぐ可能性がある。

日信号、京三製など出番

こうした中、日信号は東急などと組み、デジタルサイネージ <電子看板> 一体型のマルチメディアホームドアを開発するなど新たなホームドアを提案。ホームの安全を監視するセンシングシステムなどと併せて普及を進めていく。JR西日本 <9021> との資本・業務提携を発表するなど、鉄道各社との関係強化の動きも注目される。

最大手クラスの京三製も、「 <ホームドアの> 需要は増加が見込まれる」 と強気の姿勢を示す。同社はこれまでに計5000台規模のホームドアを納入した実績がある。直近では東京メトロで、透明窓を通してホームと車両とのすき間を確認できる「透過型ホームドア」が採用された。

業績面では日信号が今3月期上期(4?9月)の連結営業利益予想を下方修正したほか、京三製も今3月期は前期比2ケタの減益を計画している。ただ、短期的な収益の落ち込みは既に株価に織り込まれているとみられ、いずれもPBR(株価純資産倍率)0.7倍前後と割安だ。このほか、交通機器やメカトロ装置を手掛ける高見沢サイバネティックス <6424> もホームドアを手掛けるほか、東京・山手線では東鉄工業 <1835> も設置工事で実績があり、ホームの安全対策の関連銘柄としてマークしたい。(9月1日株式新聞掲載記事)

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