とられる税金、頭打ちのキャリアパスが、管理職を悩ませる?

日本の管理職の給与が、それほど上昇しないそれには2つの理由が挙げられる。

1つ目の理由は税金だ。日本では年収が1800万円を超過すると、税率が一段とアップして、年収が3000万円クラスになると、収入の半分ほどは税金として納めないといけない。そこで、管理職は、給与の上昇よりも、課税対象ならない福利厚生の充実を求める傾向があるようだ。たとえば、運転手付きのハイヤーや海外出張時のファーストクラスの利用など、役職に見合った待遇を希望する。また、日本は諸外国と比較すると、管理職の数が多いとの指摘もあり、必然的に1人当たりの給与は抑えられてしまう。

2つ目の理由はキャリアパスだ。企業風土として、管理職まで上りつめると、役員や関連会社の代表に就くなどの、ポストも見えてくる。会社としては、管理職の給与を低く抑える代わりに、こうしたポストをちらつかせ、安定した雇用を保障することで、バランスをとっているのだ。一方、海外では、よりよい待遇と環境を求めて、転職するケースが珍しくなく、管理職も例外ではない。企業にとってみれば、優秀な人材を引き留めておくには、それなりの給与を支払わないと、人材が流出してしまうというわけである。リスクヘッジとして、高額の給与を保障しているというわけだ。

ヘイズのレポートによると、成長著しいアジアでは、従業員の給与を10%以上引き上げるケースが目立つようだ。一方、日本の企業全体のうち13%は給与を引き上げていないと回答し、中国・香港・マレーシア・シンガポールと比較した中では、この回答の割合は最も多かった。さらに、今後の見込みについても、給与の引き上げ予定は「なし」とした企業が15%にも上り、中国やマレーシア(各4%)、香港・シンガポール(同7%)の倍以上となった。先行きを見ると、日本の管理職クラスの給与は、他国よりさらに差をつけられそうな気配が漂う。

自分でキャリアを切り開くというより、終身雇用で一つの企業で働き続ける人が多かった日本。今後は管理職こそ、自分の待遇とキャリアを模索していく必要があるかもしれない。(ZUU online編集部)