経営安定へ地域を挙げた支援が必要

中心商店街はいわばその都市の顔。人通りや店舗の減少が続けば、都市の活気も失われる。もともとはマイカーが普及する前の公共交通機関が人々の足だった時代に形成され、百貨店を核店舗として集客している地域が多い。

だが、公共交通機関が今も住民の足となっている大都市圏を除けば、マイカーの普及や郊外型ショッピングセンターの登場、地方の急激な人口減少などからで空洞化が進み、苦境に立たされている。

百貨店自体も時代に合わなくなり、かつてのような集客力を発揮できなくなってきた。花巻市以外でも中心商店街の百貨店閉店が相次いでおり、百貨店の撤退で商店街の客足がさらに減少するところが後を絶たない。

人口減少の続く地方都市にあえて出店する百貨店は少なく、ディスカウント店など商業施設が進出すればまだ良い方。後継店が決まらず、駐車場になったり、公共施設が入居したりするところもある。

花巻市のように地元の業者が運営引き継ぎに乗り出すのは珍しい例だが、展望大食堂の営業再開を中心商店街の活性化という難題解決に結びつけるには、乗り越えなければならない課題がたくさん残っている。花巻の正念場はこれからだ。

高田泰 政治ジャーナリスト この筆者の記事一覧
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。