◎インフラ海外輸出とは
世界のインフラ需要は、新興国を中心とした急激な都市化と経済成長により、拡大傾向にあります。具体的には、交通、石油、建設、発電、水道等のインフラ需要です。インフラ市場の内訳としては、交通が最も多く、並びの順となっています。世界のインフラ市場規模は、2011年の時点で、1000兆円超の大きな市場となっており、新興国のインフラ市場だけでも、2030年までの累積投資額は数千兆になると予測されています。日本は、成長戦略の一環として、新興国を中心とするインフラ需要を取り込み、日本の経済成長につなげていく必要がありますが、インフラ関連の機器の輸出だけでなく、インフラの設計、建設、運営、管理をシステムとして受注することや事業投資などをおこなうインフラ海外輸出が重要となっています。
◎これまでの我が国の取組み
世界のインフラ需要市場規模の増大に対して、世界各国は積極的にインフラ海外輸出に取り組んでおり、世界における我が国のプレゼンスは高いとはいえない状況でした。アジアのインフラ市場においては、韓国・中国のプレゼンスが高く、受注が急増しています。
2005年から2010年の日韓中の海外インフラ受注実績を見ると、日本の海外インフラ受注が、毎年、年間200億ドル程度を維持していたのに対して、同期間中、韓国は158億ドルから645億ドル、中国は296億ドルから1344億ドルに、それぞれ約4倍程度も拡大しています。韓国は中東で、中国はアフリカでのインフラ輸出の受注が目立ちます。日韓の受注の主力が発電とエネルギー関連プラントであるのに対して、中国は発電、エネルギー関連プラント、交通、通信となっています。10億ドル超の大型案件について見ていくと、2010年の日本は、天然ガス関連プラント3件(カタール、パプアニューギニア、インドネシア)のみでした。韓国は、大型案件が、2010年に発電プラント、石油ガスプラントなど14件ありました。中国も、大型案件が、2008年、住宅建設、発電プラントなど10件ありました。
中東における石油・ガスプラント受注については、2005年は日欧米企業が上位を占めていたのですが、2010年には韓国が上位を占めています。