◎インフラ海外輸出戦略・ビジネスモデル
インフラ海外輸出のビジネスモデルとしては、①海外インフラ受注、②自ら出資者としてサービス提供に参画する事業投資があります。①海外インフラ受注は、「EPC事業」と呼ばれるプラント・エンジニアリング会社の事業の受注を含みます。EPCとは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の3つのフェーズがあることから、頭文字をとって、呼ばれています。2010年時点、日本の事業投資案件の売上高は、海外インフラ受注額と同レベルでした。海外インフラ受注と事業投資を合計した日本のインフラ海外輸出の受注規模は、2010年約10兆円でした。現在、日本は、「強みのある技術・ノウハウ」を最大限に活かして、2020年に約30兆円のインフラ海外輸出の受注目標達成を目指しています。具体的施策として、インフラシステム輸出戦略の以下の5本柱が掲げられています。
1.企業のグローバル競争力強化に向けた官民連携の推進
2.インフラ海外展開の担い手となる企業・地方自治体や人材の発掘・育成支援
3.先進的な技術・知見等を活かした国際標準の獲得
4.新たなフロンティアとなるインフラ分野への進出支援
5.安定的かつ安価な資源の確保の推進
◎インフラ海外輸出の実績・成果
2013年、総理・閣僚によるトップセールスが1年間で67件実施され、また、経済ミッションも多数実施されました。アフリカに関しては、6月に東京で開催したアフリカ開発会議の際に、安倍総理がトップセールスを実施し、2014年1月にも、安倍総理は、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアを訪問しました。ロシアに関しては、日露首脳会談を年間4回実施し、4月の安倍総理によるロシア訪問時には100社超の企業が経済ミッションとして同行しました。ASEANに関して、安倍総理は10か国を訪問し、12月には日本・ASEAN特別首脳会議を東京で開催しました。中東に関しては、安倍総理がトルコを2回訪問しました。また、中東5か国を訪問しました。トップセールスによるところもあり、2013年の海外インフラ受注(事業投資を含まず)の金額は約9兆円と、前年約3兆円から急増しています。2013年の1000億円を超える大型受注案件は、以下の4件です。
◎ペラ州高効率石炭火力発電所 (マレーシア) 約1,300億円
◎デリー・ムンバイ間貨物専用鉄道 (インド) 約1,100億円
◎高速鉄道車両更新計画車両追加受注 (イギリス) 約1,800億円
◎深海油田向けFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備) (ガーナ) 約1,200億円
インフラ海外輸出に関しては、官民一体となったトップセールスの推進が求められます。技術協力・無償資金協力の活用、円借款の活用、公的金融の支援強化など多様なサポートを展開していくことが求められます。
photo:2009-07-08: Windmill Farm in Eastern Washington / orcmid