◎目的別積み立て
多くの百貨店には、百貨店積み立てがあり、5000円、1万円など毎月決められた金額を積み立てると、1年で1か月分のボーナスがつくのが基本的な仕組みで、例えば、毎月1万円ずつ積み立てれば、1年後の満期時にボーナス込みで13万円分の商品券か買い物カードの入金が受けられます。他にも、旅行代理店や航空会社に旅行積み立てがあります。また、他の業種・業態でも目的別積み立てがあります。
現在の銀行預金の標準金利 0.020% に対して、百貨店の積み立ての利回りは8.3%を超える計算になり、銀行の預金金利をはるかに上回る利回りとなっています。
◎百貨店の積み立て
百貨店の積み立てでは、毎月決められた金額を1年または半年積み立てます。積み立ての方法は、口座引き落としか、店舗での現金の入金のいずれかの場合があります。入会時に会員カードが作成され、1年または半期の満期になると、積立金とボーナスが会員証カードにチャージされます。会員証カードは、買い物カードとして利用できます。
三越伊勢丹ホールディングスにおける百貨店積み立て「エムアイ友の会お買物カード」では、1年または半年の積み立ての後、満期時に積み立て総額にボーナスをプラスした金額が友の会会員証にチャージされ、お買い物カードとして利用できます。エムアイ友の会お買物カードは1年の積み立てで、1か月分のボーナスがプラスされ、13か月分の満期お買物カードとなります。コースは、5,000円から最高50,000万円まで、5つのコースがあります。セール、特別奉仕品、食料品にも利用できます。全国の三越、伊勢丹、丸井今井各店、岩田屋で利用できます。また、三越伊勢丹ホールディングスのオンラインショップである三越伊勢丹オンラインストア、および、三越伊勢丹通信販売でも利用可能です。デイリーの買い物で現金が必要でなく、お買い物カードで済ますことができるのも、大きな利点と考えられます。
高島屋では、「タカシマヤ友の会(ローズサークル)」があり、毎月一定額1年間積み立てると、1年後に1か月分の積立金がボーナスとしてプラスされた「会員証カード(会員証・お買物カード)」が渡されます。「お買物カード」は、全国のタカシマヤで買い物に利用できます。(一部除外店舗・除外商品があります。)ローズサークルに入会すると、会報誌「タカシマヤ友の会通信(ハミングタイム)」や、旅行、教室、サークル活動など1年間楽しめる特典があります。 三越伊勢丹ホールディングスにおける百貨店積み立て「エムアイ友の会お買物カード」および高島屋「タカシマヤ友の会(ローズサークル)」をご紹介しましたが、多くの百貨店で同様の積み立てコースが設けられています。
百貨店積み立ては、七五三や入学などイベントがあり、支出が予定されている人に適した積み立てだと思われます。また、そのようなイベントが無くても、毎月の百貨店での支出を、例えば1万円だという目安を持って、食料品やお酒などを買っていける、すなわち、百貨店での購買力を常にもっていられることは、生活の余裕につながると考えます。お買物カードを使って買い物をしている間にも、銀行引き落としなどで、来期に振り込まれる積立金プラスボーナスが着々と積み上がっています。お買物カードの残高が少なくなった頃に、すなわち百貨店での購買力を失いかけたころ、積立金プラスボーナスがチャージされ、残高が増え、百貨店での購買力を復活させるのです。少し、嬉しくなります。 一方、百貨店積み立てのリスクとして、倒産した場合、積立金のうち保全されるのは2分の1であること、店舗が閉店することが考えられます。
◎旅行会社の積み立て
旅行会社にも積み立てがあります。JTBの旅行積み立て「たびたびバンク」では、最低1年の満期時に、積み立て総額プラス年利換算1.75% のサービス額が加算されます。銀行口座からの自動引き落としで毎月決まった積み立て額の「毎月払いコース」、および、一括で預け入れる「一時払いコース」の2つがあります。満期後いつでも旅行へ行けます。JTBの国内・海外の旅行コースの中から旅行を選ぶことができます。たびたびバンクカードは、国内のJTBグループ、PTSトラベルナビの各店、JTBホームページ・インターネット決済で何度も利用できます。「たびたびバンク」では、インターネットや PLUS JTBサービスセンターでいつでも気軽に残高照会できます。また、JAL、ANAなどの航空会社でも、同様の旅行積み立てプランを設定しています。国内外の航空券を購入することも可能です。
旅行積み立ては、将来の旅行の計画を立て、利用するのは、利回りもよく利便性が高いと思われます。一方、旅行積み立てのリスクは、旅行積み立てをしている旅行代理店などの旅行ツアーが他の旅行代理店のものよりも魅力的かどうかわからないことだと考えます。例えば、対面販売を主とする旅行代理店の旅行積み立てをしていて、いざ旅行しようとしたとき、ほとんど同等の旅行ツアーをネット専業の旅行代理店が安価で提供していたというような場合、安い旅行ツアーを選べないというリスクです。
◎その他業種・業態での積み立て
その他業種・業態での積み立ても、いくつかありますが、有名なのは、カワイ楽器の「カワイドレミファプラン」でしょう。ピアノやバイオリンなどの購入資金に使えます。商品購入時に積立金に5%のサービス額がプラスされ、購入代金の一部に充当することが可能です。途中購入、積立金の増額などプランニングの変更も自由自在です。リスクとして、積み立てプランの突然の廃止があります。実際、ヤマハでは、2012年に、1975年以来続けてきたヤマハの鍵盤楽器等を購入するためのヤマハ積み立てプランを廃止し、積み立て金の解約・払戻しをおこないました。
百貨店積み立て、旅行積み立てを中心に、目的別積み立てについて、ご紹介しました。銀行の普通預金や定期預金の利回りを上回るものが多く、計画にもとづいて利用することは一考だと思われます。また、現金やクレジットカード以外の「購買力」を持てるので、気持ちの余裕にもつながります。
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