バンク・オブ・アメリカとMicrosoftによるブロックチェーン貿易金融取引システムの共同開発が、9月26日から29日までジュネーブで開催されたSWIFT(国際銀行間通信協会)のイベント「Sibos(サイボス)」で公表された。

両社は銀行・顧客・事業間の取引をブロックチェーン化するためのフレームワークをともに開発し、貿易金融業務の効率化を図る。IT産業と金融産業を代表する大手2社が手を組んだことで、貿易金融の歴史に新しいページが誕生するはずだ。

ブロックチェーン化で貿易金融取引を自動完了

共同開発ではMicrosoftのクラウドサービス「Azure」を通して、Microsoftのトレジャリー部門がスタンドバイ信用状(LOC/不履行におちいった元利の支払いを、銀行が肩代わりするという証明書)を最適化するという実験が行われており、この模様はSibosでも試験的に実演された。

今後はより複雑な処理に対応可能になるように、アプリケーションを向上させるための共同開発が続けられる予定だ。

従来の貿易金融は主に手動で行われており、時間とコストが非常にかかるのが最大の難点とされている。

ブロックチェーン化で取引を自動完了させるシステムを構築すれば、こうした手間とコストを大幅に削減することが可能なだけではなく、業務全般を効率化させ、カウンターパーティ・リスク(支払い不尾行によるリスク)も最小限におさえることも期待できる。

バンカメの国際取引サービス部門責任者、アーサー・ウィリアム氏は、バンカメが新たな金融革命との融合に非常に熱心である点を挙げ、IT産業の巨匠、Microsoftとの提携関係を大いに歓迎している。

デジタル化ではゴールドマン・サックスなどのライバル銀行に一歩遅れをとった感の強かったバンカメだが、今年にはいってからは史上初の即時モバイルP2P送金を導入したほか、Facebookを利用したカスタマーサービスを提供するなど、活発なFinTech活動を繰り広げている。

一方Microsoftは単なるIT企業から金融の世界に枝を広げ、未知なる可能性を探索中だ。

かつては単独の分野で活動していた企業を、同じ目的に向かって結びつける。FinTechはそんな不思議な力に満ちている。( FinTech online編集部

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