英国でキャッシュレス化に拍車がかかっていることが、マスターカードの最新調査から明らかになった。

2000人の回答者中、69%がすでに「現金よりも電子決済(カードやウォレットなど)を利用している」、44%が「カードが世界中どこでも利用可能ならば、現金はもう持ち歩かない」と回答するなど、キャッシュレス先進国スウェーデンを追いあげる勢いだ。その反面、現金の流通量が増加するなど現金も根強い人気だ。

若い世代の2割がカードを受けつけない店をボイコット

20年ほど前までは小切手と現金が支払いの必須アイテムだった英国だが、デビットカードやクレジットカードの普及とともに、オンライン決済やモバイル決済が市場の流れを完全に一新した。

英消費者の現金離れを裏づけるかのように、62%が現金よりもカードやウォレットによる決済を望んでおり、38%が「カード決済を受けつけない小売店、あるいは飲食店は利便性が悪い」、20%は「利用しない」と答えている。

現金離れは若い世代を中心に最も色濃く見られ、「全世界カード払いOKならば現金は一切使わない」という回答者は25歳から34歳の層が62%、16歳から24歳、35歳から44歳の層が53%にものぼる。

面白いのは現金を根強く支持する高齢層にとって、不正利用への懸念がその理由としてあげられているのに対し、若い世代は「盗難や紛失したら(カードのように)キャンセルできない」ことを、現金を利用しない理由として挙げている。セキュリティーの価値観がまったく異なる点に、世代差が表れているのだろうか。

しかし現金が英国から消える日がくるかという問いに、マスターカードは疑問を唱えている。イングランド中央銀行のデータによると、英国ではコンタクトレスカードやモバイル決済が勢力を増しているとはいえ、10年前の2倍の現金が流通している。つまり現金自体は取引量が増えており、キャッシュレスの域に達するほど下火になる気配は感じられないというのだ。

その一方で英金融機関などが加盟している決済団体、ペイメント・カウンシルは今後10年間で現金の需要が少なくとも3割落ちこむと予想している。

現金VSキャッシュレス決済の決着は、どうやら消費者の価値観と加盟店数の増加にかかっているようだ。( FinTech online編集部

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