ATMも次世代に突入し、これまではパッケージ(統一)化されていたソフトとハード(ATM機)の個別導入が主流になりそうだ。
ハードとソフトの選択肢を広げることで、金融機関はプログラムなどのカスタマイズが可能になり、自社の特色を全面に押しだした独自のATMサービスを提供できるようになる。需要の高まりとともに、今後ATMハードおよびソフト市場の拡大が期待されている。
出入金から総合カスタマーサービスまで実現可能
テクノロジーの発展によって複雑化したバンキングシステムを向上するうえで、「既存のATMパッケージでは役不足」と感じ始めた金融機関から、ATM開発業者にハードとソフトの別売りを求める声が相次いだという。
英市場調査会社、リテール・バンキング・リサーチ(RBR)の調査からは、金融機関側は需要に見合ったATMシステムやコスト削減を望んでいることが明らかになっている。従来のようにATM運用の細かいコスト分析を行うよりも、総体的なソフトのコスト(TCO)の追及に関心を示している。
既存のハードとソフトの組み合わせでは、提供できるサービスが限定されてしまう。しかしこれらを顧客の需要に合わせて組み替えれば、まったく新しいシステムを構造できる。モバイルやウォレットをリンクさせることは勿論、チャットボットやSNSといったテクノロジーをATMに融合させ、総合的なカスタマーサービスを請け負うマルチステーションを創出することも、将来的には可能になるだろう。
現金を入金、出金するだけの目的で設置されたATMを、消費者の生活をより快適なものへと向上させるツールに一新すると同時に、長期的なコスト削減につなげようという意欲的な試みだ。
一部の銀行はすでにこうした試みを実現しており、スマホでATMから現金が引きだせるJPモルガンの「eATM」などがその代表だ。
調査に強力したブラジルのATM開発企業、TecBanは、「柔軟性という観点から、ソフトとハードを個別に選択できる利点が高評価されている」と分析し、最新テクノロジーを活用した革命的なソフトの開発など、今後数年にわたりATM市場が大いに活気づくと予想している。( FinTech online編集部 )
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