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(写真=PIXTA)

アパート経営は誰もが成功するとは限りません。「安定した副収入を生み出す“福の神”だ」と言う人がいる反面、「家計からお金を持ち出すばかりの“貧乏神”だ」と言う人もいます。その違いはどこから生まれてくるのでしょうか? 今回は、実際にサラリーマン大家として地方都市でのアパート経営に成功しているオーナー(ここではAさんと呼びます)から、アパート経営成功者の共通点を3点教えてもらいました。

1. 自己資金の割合が高い

Aさんを筆頭にアパート経営で成功している人は、自己資金を厚めにしているケースが多数です。他方、アパートローンを目いっぱいに組んで、レバレッジを利かせようというタイプのオーナーは、空室や修繕費に四苦八苦していることが少なくありません。

一般的にアパート経営で想定しておくべき空室率は3割と言われています。つまり、満室家賃の70%の収入でも赤字に転落しないような収支計画を立てておかないと、たちまち家計からの持ち出しになりかねません。そのためには自己資金を多めに投入して、月々のローン返済額を抑えておくことが大切になるというわけです。

Aさんは自己資金33%ほどでした。残り3分の2をアパートローンで賄いました。13年のローンを組んだので、月々の返済額は比較的高めでしたが、3室の空室が出ても赤字にならない収支計画を作ることができました。これまでアパート経営が家計を圧迫したことはありません。心置きなく本業に専念できるという点で、サラリーマンの副業として最適な投資だったということになります。

●自己資金の割合が高いことのメリット

自己資金の割合が高いと、収支の安定化以外にもさまざまなメリットが生まれます。まず、収支に余裕があるので、空室が発生した際に敷金・礼金0円の「ゼロゼロキャンペーン」や、入居を条件に一定期間無料で貸し出す「フリーレント」といった対策を打ち出すことが可能です。その結果、空室期間は短縮され、収益がアップしました。

また、Aさんは収益の中から修繕費用を毎月積み立てておいて、屋根と外壁を塗り替えたほか、エアコンの交換、ウォシュレットや暖房便座の設置など、随時最新の設備に切り替えることで入居率が上昇しました。家賃の引き上げも可能になり、収益性が改善したそうです。

このようにアパートの稼働率を高め、不動産としての価値を維持する上で、自己資金の割合を高めておくことは非常に重要です。

2. 信頼できる管理会社を使う

Aさんがもう1つ重要なポイントに挙げたのが、信頼できる管理会社を見つけ出すということです。退居者が出たら速やかに次の入居者を確保し、良質な入居者に長く住んでもらう。アパート経営の成否は、この満室経営を続けられるかどうかにかかっています。成功しているアパート経営者は、すなわち、管理会社選びに成功している人と言っても過言ではありません。

●自主管理は「労多くして益少なし」

アパート経営には、家賃の回収、建物の清掃、トラブル対応、入居者審査など、さまざまな仕事が発生します。これらをオーナー自身で行うことが自主管理です。現在、東北の中核都市で学生向けアパートを経営しているAさんは、一切を代行してくれる賃貸管理会社に管理報奨金と清掃費を合わせて月額約2万円で委託しています。

オーナーのAさんは月額2万円で、入居者の募集から入居者管理までの一切から解放され、家賃を受け取るだけです。管理会社が大学生協と提携しているため募集もスムーズで、家賃滞納や放置自転車などのトラブルも、円満かつ迅速に解決してもらってきたそうです。

物件管理は煩雑です。自身で行えば、肉体的にも精神的にも大きな負担となるでしょう。時には本業そっちのけで振り回される事態にもなりかねません。また、不動産会社は入居者の仲介・管理を合わせて委託されている物件を優先する傾向が強く、自主管理されている物件の場合、客付けの協力も弱くなりがちです。