M&Aは、買う側と売る側の気持ち次第で成功する可能性もあるし、失敗する可能性もある。これはM&Aをする前だけではなく、M&A後についても同じことがいえる。もし共に歩むことが難しければ、買い手は子会社となった売り手を別の企業へ売却し、別々の道を歩むことになるかもしれない。こうしてみると、M&Aはまさに企業と企業の結婚ともいえ、M&A戦略は相思相愛となれる結婚相手選びと同じともいえる。今回はM&Aを結婚相手選びと見立てて解説をしていきたい。
M&Aと結婚相手選びはここが似ている
M&Aのフェーズは、以下の3つに分類することができる。M&Aを活用した戦略を検討すること、M&Aを実行すること、M&A後のやりとりである。この3段階にわけて説明していこう。
M&Aを活用した戦略の検討で行うことは、企業の経営戦略に基づいてM&Aの目的を明確にすること、目的に合致したM&A対象となる企業の条件を定めること、その条件にあった企業を探すことである。
これを結婚相手選びで考えてみよう。まず、今後の人生を考えた時に、どのように生きていきたいかを考える。そして仕事中心か、プライベート中心かといった人生戦略を検討する。この中で結婚を考えるのであれば、どのような人物と出会うことがふさわしいのか、その後の人生を考えたうえで共に歩んでいける人物像を明確にする。そして自分の考え方や好みに合った相手を探していくことになる。
次にM&Aの実行時を考えてみよう。この交渉段階ではすでに付き合っていると見立てることができる。そして何回か会って話すことで、互いに良さや悪さを理解しあうことになる。理想が高いと、この段階でふられることになる。これはM&Aの破談でも同じである。何回か交渉を重ねることで相思相愛の中となれば、いよいよ結婚となる。これが基本合意締結(婚約)→株式譲渡・合併(結婚)といった具合である。
M&Aは実行後が重要である。実行後にいかに統合できるか、いかに結びつきを強くしていけるかが、その後の2社が歩む道を決定づけることになる。結婚も同じである。結婚後いかに共に楽しく歩んでいけるかが重要である。ここで夫婦の間に溝ができ、相思相愛の仲ではなくなった場合には離婚という選択肢をとることになる。企業も同じで、買い手は他の企業への売却等を検討せざるを得なくなる。このように、M&Aは結婚相手選びと同じなのである。