売却価格を下げないために
それでは売却価格を下げない、むしろ売却価格を高める方法とはどのようなものであろうか。まず、買い手にとって魅力ある企業に映らなければならない。そのためには、直近3年分の決算が黒字であること、売り上げ・利益ができれば増加基調であることが重要だ。一般的には営業利益をもとに企業価値を判断することも多いため、売却を検討する場合には経費項目を適正な金額とする必要があるだろう。オーナーの高すぎる役員報酬や、事業に関係のないオーナーの個人経費が計上されていることは、魅力半減となる。そうした行動がないかどうか、確認する必要がある。
当然ながら不正や在庫水増しなどによる簿外債務がある場合には、そもそもM&Aが破談となったり、かなり安く買いたたかれるおそれもある。こうした行動がないかどうかも確認しておきたい。
あとは、企業のアピールがいかにできるかにかかってくる。買い手にとってどうしても欲しい、合併により相乗効果が発揮できそうであると思わせることが価格上乗せのポイントとなる。例えば、特許などの権利で他社にはない特徴があることや、従業員のスキルが他社よりも高い(資格一覧を提示する)こと、土地の含み益が生じていること、最新の設備を投入していることなど、決算書からは分からないことを交渉中の資料に落とし込んでおくことが重要である。
今後の業績についても、成長もしくは期待のできる側面があること、買い手から見て伸びしろがあることを見出せるような説明を心掛けるとよい。また、売却後も一定期間は残るといった条件にすることも、買い手を安心させ売却価格を下げない方法の一つだ。
こうした価値のある内容があれば評価が上がり、売却価格が予想より高くなることもある。そうなれば経営者としても、これまでやってきた甲斐があると感じるはずだ。
以上、売却価格を下げない方法についてみてきた。これまで「俺の会社」としてやってきた経営者の場合、買い手の目線から見た企業経営に切り替える必要がある。一度決算書を見て無駄がないか確認してみよう。価格を高めることができるかどうかは、ずばり経営者にかかっているといえる。(提供: M&Aアドバイザーズ )
【オススメ記事 M&Aアドバイザーズ】
・
M&Aとはどんな手法なの? メリット・デメリットを完全理解
・
M&Aに必要なステップは? 経営者必見のポイント6つ
・
M&Aアドバイザーの役割とは? 会社選びで失敗しないために
・
M&Aの相談先の選び方で注意すべきポイントは?
・
こんな悩みを持つ経営者は「M&Aコンサルティング」が必要?