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美術品オークション市場が息を吹き返しています。2003年から2007年まで上昇した後、リーマンショックを受け急落。その後、2009年から2012年までは低迷が続いていました。しかし、この数年市場の回復と共に落札価格も上昇し、2013年の市場全体の平均落札価格は約38万円と2008年以来の水準まで回復しています。そして、想定価格を大きく超え落札される事例も見られ、その先行きにも力強さが感じられるようになってきました。

美術品を売買・保有する傾向が強いのは富裕層です。その富裕層と呼ばれる人達は、分散投資目的、不動産に代わる実物資産の保有目的、インフレヘッジ目的、コレクターとしての趣味といった様々な理由で、普段から美術品の購入を行なっています。そしてさらに、2012年末に発足した安倍晋三政権の打ち出したアベノミクスによる将来の値上がり期待が、富裕層の美術品購入の関心をさらに高めました。

また、美術品市場への関心を高めているのは、決して買い手だけではありません。売り手も、今の市場動向を注視しています。一般的に富裕層は良い作品が出品されれば景気に関係なく買うと言われています。しかし実際は、2007年から2012年の市場の下落・低迷期には、不景気だから高い価格で売却できないのではないかと不安なり、良い作品を出品するのを手控えた売り手が多かったようです。こうした売り手が市場の活況と共にようやくオークション市場にも戻り、出品を再び増やして来ているようです。

このように買い手と売り手の両方よって、今の美術品オークション市場は盛り上りを見せています。そして、こうした中注目されそうな美術品は、やはり作者の知名度・人気度が高く、真似されない再生産されることのない美術品だと思います。美術品の価格も株価と同じように需要と供給のバランスで決定されます。ですので、この需要と供給のそれぞれの条件を満たすことで、美術品の価格変動を抑え、時間と共に価格が上昇していくことが期待できるのではないでしょうか。