JR九州、割高感はなく配当利回り・株主優待に魅力

JR九州は配当利回り、株主優待も魅力的で長期投資のターゲットになりやすいのも魅力の一つだ。

JR九州の本業である鉄道事業は赤字であり大きな成長を見込むことは難しいが、他のJR各社と同様に駅周辺のホテル、マンション開発などの不動産事業や、駅ビルや駅ナカでの小売業、JRを利用した旅行業の拡大などの可能性がある。すでに、分譲マンションのMJR、賃貸マンションのRJR、駅ビルのアミュプラザ、ドラッグストアのドラッグイレブン、ホテルのJR九州ホテルといった多角経営をすすめている。商業施設では、本社がある博多駅前にアミュプラザ博多が2011年にオープン、2016年にはKITTE博多(博多マルイ)が開業するなど話題にもなっている。

JR九州の前期の非鉄道事業売上は419億円と鉄道事業の1692億円の25%程度だ。多角化で先行するJR東日本 <9020> は非鉄道事業売上が鉄道事業の68%まで達している。JR九州は、JR東日本に比べ人口圏が少ないという限界もあるのかもしれないが、伸びしろがあるのとも言えるだろう。

仮条件の上限2600円で計算した今期の予想PERは11倍程度。ほぼ他の上場JR各社と同レベルだ。今期予想の配当から計算した配当利回りは2.9%程度になる。配当狙いの投資家にとっては悪くないレベルだろう。

株主優待は、JR九州の鉄道料金が5割引になる「鉄道株主優待券」が1000株未満までの株主に対し100株ごとに1枚与えられる。また系列のホテルや施設で割引となる「JR九州グループ株主優待券」は100株以上の株主が一律5枚もらえる。博多から鹿児島まで新幹線の指定席を利用して移動すると、電車賃は片道で1万450円。株主優待券を利用するとその半額となる。JR九州を利用する人にとっては魅力的だろう。

ずばり「JR九州」の初値と上場後の株価推移

過去のJRの上場を振り返ってみよう。1993年10月のJR東日本 <9020> は、初値が58%と大幅に上昇。1996年10月のJR西日本 <9021> は1%高、1997年10月のJR東海 <9022> は2%高だった。ただ初値に比べて、現在の株価は各社とも大きく上昇している。したがって印象は郵政3社よりは悪くない。

ずばり予想しよう。IPOの初値、特に大型株は日経平均の足下の状況や先高感がに左右されがちだ。とくにJR系の場合すでに上場会社が3社もあり3社が下がっているのに、九州だけが上がるとは考えづらい。現在のJR東日本、JR西日本の株価は、2015年8月の史上最高値から今年8月安値まで下げたあとの反発局面だといえるだろう。 JR東海はリニアの材料があるため、値動きは違っている。上場日まで、日経平均株価やJR東日本や西日本が堅調に株価を維持しているならば、JR九州は2650円から2700円どころが初値となりそうだ。

また、JR九州はTOPIXに採用される。JR東、西、東海は日経平均採用銘柄であり、九州も将来採用される可能性もある。時価総額がある程度大きい東証1部直接上場銘柄は、日経平均やTOPIXといった指数に連動するファンドを運用するパッシブ投資家の需要が出てくる場合が多い。

郵政3社の時もTOPIXや外人が日本株の指数として重視しているMSCIやFTSEの日本株指数に組み入れられたことで、初値後思いのほか人気化した。同じようなことが起こりうるかもしれない。(ZUU online 編集部)