不動産に関する投資には、株式と同じように売買ができる「REIT(不動産投資信託)」、区分所有マンション投資、一戸建て賃貸住宅投資、マンションやアパートの一棟投資など、さまざまな方法がある。いずれの投資にも魅力があるが、それぞれ投資規模やリスクなどが異なる。今回は、一棟マンション投資について考えてみよう。
一棟マンション投資とは
マンション丸ごと一棟を経営する不動産投資のことで、その場合の投資対象は土地を含めたものになるため投資規模も大きくなる。都内の立地条件の良い物件であれば、最低でも数億円は必要だろう。一棟マンション投資では、投資資金の調達が最も高いハードルとなるかもしれないが、ワンルームなどの区分所有とは違い複数の住戸があるため、1室が空室になっても家賃収入はゼロにならない。自己資金が用意できるのであれば、一棟で投資したほうが、キャッシュフローや空室リスクを考慮すると有利といえるかもしれない。
他の不動産投資との違いを考える
ところで、一棟マンション投資は他の不動産に関する投資とはどのような違いがあるのだろうか。それぞれの投資の特徴を比較してみよう。
1. REIT(不動産投資信託)
REITとは、投資家から集めた資金をファンドマネージャーという専門家が不動産に投資し、そこから得られる家賃収入や売買差益から運用コストなどを差し引いて投資家に還元する仕組みだ。数万円から投資できる点や、プロが複数の物件に分散投資する点などが一棟マンション投資とは大きく異なる。また、自身で賃貸経営を行うのではなく株式投資のような形式のため、賃貸経営のノウハウは身に付かないともいえる。
2. 区分所有マンション投資
マンションを区分所有し、入居者に貸し出して家賃収入などを得る投資だ。一棟マンション投資と違い、投資対象がマンション一戸のため、一棟マンション投資に比べて初期投資額が少なくて済む。サラリーマンが副業として、老後の年金代わりに投資しているケースも多い。一戸のみ所有する場合は、空室になった時点で家賃収入がゼロになるというリスクがあり、次の入居者が決まるまでの間はローン返済分が家計から持ち出しになる可能性がある。しかし、都心部では単身者世帯の増加が見込まれており、ワンルームなどの区分所有が高い注目を集めている。
3. 一戸建て賃貸住宅投資
一戸建て物件を所有して、賃貸経営する方法だ。近年、投資を念頭に格安で建設できる戸建て賃貸住宅も登場しており、アパート投資などと比較すると賃料を高く設定できるため、比較的利回りが出やすい。ただし、一人用ではなく家族など複数人で同居するのが前提なので、需要のないエリアでは空室リスクが高まるという点に注意が必要だ。
また、上記いずれの場合も新築と中古に分類できる。中古はいわゆる「オーナーチェンジ」だ。新築よりも安価で取得できる点や、今までの実績からある程度の需要を予想できる点がメリットである。ただし、中古のため新築よりも耐用年数が短く、建物の修繕費用が発生しやすいことや、老朽化とともに空室や家賃の低下に悩まされる心配がある。そのため、物件を見極める「眼力」が非常に重要となる。