「ビジュアル化」の一歩は「パクる」ことから

ならばぜひ、自分の思考にもビジュアル化の視点を取り入れたい。そう考えるビジネスパーソンも多いはずだ。だが、デザインを専門に学んだことのない人間でも、「ビジュアル化」の技術を使えるものなのか。

「もちろん、できますよ! ただ、『まず、情報をビジュアル化しましょう』と言うと、『いや、私にはセンスがないから』とおっしゃる人が多いのですが、すごく簡単な方法があります。それは『パクる』こと。こんな言い方をすると誤解されてしまうかなあ(笑)。でも本当なんですよ!

ファッションの分野でも、この手法を使っています。現在のファッション界は、一人の天才デザイナーがすべてを回しているわけではなく、マーケティングや広告などビジネスの世界の人たちも加わり、チームでものづくりをする。当然、デザインを専門に学んでいない人も企画段階から参加します。

では、何をやるかというと、まずは『イメージクリッピング』から始めるのです。皆の頭の中にあるモヤッとしたイメージのキーワードをインターネットで検索して、見つけたビジュアルをどんどん壁に貼り出していく。それは風景や人だったり、部屋や商品だったりと、どんなものでも構いません。それを皆で見ながら、『これはいいね』『こっちは何か違うよね』などと意見を出し合いながら情報を整理していく。すると皆の持つイメージがぐっと固まって、そのブランドの世界観や課題が『ビジュアル化』されるのです。

一からビジュアルを作るのはハードルが高くても、こうして既存のイメージを集めたり、編集することなら、誰にでもできますよね。先ほど『パクる』と言ったのは、こういう意味です。自分で絵を描かなくても、イメージを共有しやすいのでお勧めです」