Visaが米スタートアップ、Chainと提携し、ブロックチェーンを採用したB2B即時決済システム「Visa B2Bコネクト」を開発中であることを発表した。
初期に設定された構造を維持する「イミュータブル(不変の)・システム」に基づいた発想で、銀行間の高額送金取引をほぼリアルタイムで完了させるという試みだ。運転開始は2017年を予定しており、SWIFT(国際銀行間金融通信協会)の脅威となると予測されている。
効率的で透明性の高い決済法を提供するソリューション開発
Chainは2014年設立、従業員数は50人以下と小規模ながら、すでにGoogleやナスダック、シティといった国際大手の戦略パートナーとして活躍中だ。Chainが開発したオープンソース・ブロックチェーン「Chain Open Standard」は、FinTechを代表する革命的プロトコルとして高い評価を受けている。
国際革命ハブ、「Visaヨーロッパ・コラボ」を設立し、新しい技術の研究・開発に多大な関心を寄せているVisaにとっては、野心を満たすうえで理想のパートナーだろう。
昨年9月には英ブロックチェーン・スタートアップ、Epiphyteと2カ月間にわたるビットコイン送金の概念実証を行ったほか、Satoshiコインによるマイクロ決済の実験にも挑戦。イーサリアムのプラットフォーム「インタービット(」をベースに、カナダ初の上場ブロックチェーン企業、BLTと銀行間の決済システムの可能性を検討するプロジェクトにも着手している。
Visaイノベーション・アンド・ストラテジック・パートナーシップのエクゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、ジム・マッカーシー氏は、「国際事業コミュニティーが新たな決済技術を探索し、基盤プロセスの向上に努めるには絶好の時期である」という点を強調。
提携金融機関に効率的で透明性の高い決済法を提供する意図で、新たなソリューションを開発中であることを明かした。
進化に精力的なVisaとは対照的に、長年国際送金市場を牛耳ってきたSWIFTはセキュリティー対策面での脆弱性が指摘されるなど、窮地に立たされている。しかしその反面、VisaやRippleといったライバル企業からの圧力が起爆剤となり、サービスの向上や市場の活性化につながることが期待できるはずだ。( FinTech online編集部 )
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