会社組織において業績を残し、頭角をあらわすビジネスパーソンは、毎日における行動が何か人とは違っているはずです。かつての職場で接点を持った取引先役員とのコミュニケーションにおいて垣間見た、会社役員が実行している日常習慣についてご紹介します。

ビジネスの場において、とにもかくにも決断の速さが先手をうつ

コーディネート会社を経営されている会社社長Aさん(58歳)は女性社長らしく背が高くてファッショナブル。それでいて親しみやすい大変素敵な方でした。Aさんはそのプロジェクトで映像、会場造作、プロモーションとジャンルの違う業者を一気に束ねつつ、他にもたくさんの大きな案件を常に抱えていたようですが、やりとりにおいてなかなか返事が来ないということは、まずありませんでした。

Aさんにたまたま同行していた車中での出来事です。Aさんはメールを見ながらすぐにスケッチブックを出し、ペンで図やコメントを一気に書きあげ、それを携帯で撮りメールに添付して送っていました。時間で言えばものの数十秒。プロジェクト全員に送られていたので私も確認できましたが、オフィスに戻って社員に指示して・・・といった通常の手順を踏んでいたら、半日はずれ込んでいたことでしょう。

Aさんがその場で一番早く物事を動かす手段を、瞬時に決断し、選んでいた姿が印象的でした。

時間短縮とイメージの統一化をはかるファッションのパッケージ化

ジュエリー業界のダイヤモンド加工に関する特許を持つ会社で、若くして執行役員になったBさん(45歳)は、10年前までは部長でした。若い社員ばかりではないその会社において、みるみる出世していったBさんは出張が多いようで、常に国内を飛び回っている印象でした。

それでもいつもおしゃれで、スーツとネクタイの色合わせが絶妙だったのですが、何回か商談しているうちに、あることに気づきました。それは季節ごとにスーツとネクタイのセットがある程度決まっていたということです。

ある日、Bさんにどういう基準で洋服のチョイスをしているのか聞いてみました。するとBさんは「自分の好みはもう決まっており、ジュエリーを扱う者としてジュエリーが引き立つイメージやテーマカラーも決めている。何よりも洋服の組み合わせを考えている時間がもったいないので、春夏秋冬ごとのスーツとネクタイのセットを何年も前から決めている、白シャツと靴下は全部同じ種類」とのこと。

徹底して時間を生み出す工夫と同時に、着るものをパッケージ化して自分のシステムを作ってしまうという考え方はビジネスにも通じる合理的な概念でしょう。

立場に甘えない御用聞きとしてのプロ意識の高さ

誰もがよく知る大企業の執行役員Cさん(55歳)は、本部長も兼務していました。私の担当業務において、大きな金額の仕事だったこともあり、Cさん自らが担当になりやりとりをしてくれていた時のことです。

Cさんは商談に来社すると受付が応接室に通した後、担当である私が入室するまで、椅子には座らずにいつも立って待っていました。前の商談が長引き、どうしてもお待たせするときなどは受付係に座って待っていていただく旨を伝えたとしても、必ず立って待っていたものです。

また、ちょっとしたメールのやりとりもすぐにレスポンスがありました。それは土日でも夜でも、即答できない内容であったら確認した旨の回等が丁寧にありました。おそらく他の案件も多く持っていたことと思われますが、大企業の執行役員でありながら顧客に対してはどこまでも立場を振りかざすことなく、一御用聞きのスタンスを貫く姿勢はさすがプロフェッショナルと唸らせるものでした。

会社役員まで上り詰めるビジネスパーソンの行動には「決断の速さ」「生活における無駄をはぶく工夫」「立場に甘えない顧客に対する謙虚な姿勢」といった、一見すれば誰もができる日常習慣の中にポイントが隠されていました。

その根底にはプロフェッショナルとしての自覚と意識があるからこそ、行動がともなっているのかもしれません。

文の響舎
ライター&ブックコーディネーター。銀行員、図書館司書、一般企業にて総務・流通管理・店舗支社長・商品開発部門管理職・社員研修担当を経験。ライター&ブックコーディネーターとしてアラサー女性にむけるキャリアアドバイスを中心に活動中。 https://fuminohibikisha2.amebaownd.com/

(提供: DAILY ANDS

【あわせてよみたい DAILY ANDS】
#05 「夢のマイホーム」の落とし穴。夫の死亡保険金で住宅購入を希望するB美さん
「海外でも自分の哲学貫く」Wantedly社長仲暁子さんの信念とは
セルフブランディングが上手い女性のヒミツとは?
優柔不断な上司に決断を促す チャレンジングな仕事の進め方
上司に「富裕層を総当りして」と言われたら…本物の富裕層を見分ける4つの方法