都心中心の展開が難しくなった首都圏投資用マンション市場

不動産経済研究所が8月に発表した「 2016年上期及び2015年の首都圏投資用マンション市場動向 」によれば、地価の上昇によって都心中心の展開は難しくなったそうです。

2015年、1年間に発売された投資用マンションは、6,056戸(120物件)と前年よりも2.9%減少。供給平均価格は2,742万円(105.9万円/平方メートル)と前年より83万円(2.6万円/平方メートル)上昇し、平均専有面積は25.89平方メートルと前年に比べて0.5%ほど広くなりました。

供給地区上位5地域は、板橋区:822戸、江東区:817戸、墨田区:518戸、大田区:467戸、豊島区:397戸となり、この5地域で全体の50%を占めました。

2016年上期(1~6月)の供給は、4,121戸(667物件)と2015年同期よりも19.3%上昇しました。平均専有面積は24.75平方メートルと、2015年同期に比べて3.3%ほど狭くなったにもかかわらず、供給平均価格は2,754万円(111.3万円/平方メートル)と、前年同期よりも45万円(5.5万円/平方メートル)上昇しました。

供給地区上位5地域は、川崎市川崎区:727戸、品川区:417戸、川崎市中原区:406戸、墨田区:399戸、練馬区:337戸です。

2016年の供給エリアは、都区部17区、都下5エリア、神奈川6エリアとなり、その中でも上記5地域が全体の半分を占めます。都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)の供給が、まったくないわけではありませんが、あったとしても3,000万円台中盤が主になっているように、価格差が大きくなっているのです。地価の上昇が顕著な都心での新築物件の展開はかなり難しい状況で、供給エリアの郊外化が進んでいます。

富裕層は「億ション」離れ?

今日、不動産価格の上昇に鈍化がみられます。「立地のいい都心だから、購入後の価格や想定賃料が永続的に高く維持できる」と楽観視している富裕層ばかりとは思えません。また、上昇トレンドの頂点、最高値で売ることは至難の技です。現在の市場動向をみて、「億ション」で売却益を狙うならば、そろそろ「売り時」と捉えている富裕層が増えているかもしれません。(提供:不動産投資ジャーナル)