大学・短大進学率が過半数を超え、高学歴化が進んでいる。一方で教育にかかる費用は高額なため、学費に見合うだけのメリットはあるのか疑問視する見方もある。
進学率と経済成長とは密接な関係があるため、将来進学率が上がるのか、それとも下がるのかは経済の行方にも左右されるが、学歴によって生涯賃金はどれだけ変わるのか、その影響について考えてみたい。
学歴と賃金格差
厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、男性の大学・大学院卒の平均賃金は40万2500円、高校卒の平均賃金は28万8200円となっている。一方、女性の大学・大学院卒の平均賃金は28万7800円、高校卒の平均賃金は20万7700円となっている。
男女雇用機会均等法が施行されて30年が経つが、未だ男女での賃金格差があることがわかる。もちろん、女性の場合、出産や子育てにより仕事を離れるケースも多いことから、再就職では非正規職員になることも多く、また、扶養の範囲で働くため敢えてパート勤務を選択する人もいるという事情もある。
次に、賃金がピークになる年齢だが、男性の場合、学歴に関わらず50歳から54歳であるのに対し、女性の場合、大学・大学院卒は65から69歳で高校卒では50際から54歳となっている。いずれにせよ年功序列が依然として強いということがわかる。男性で50代の賃金が多いのは、役職が付くことにより俸給のランクが上がることと、管理職手当などが付くことが多いのが要因だろう。
この数字を見る限り、男女とも学歴が高い方が賃金は高い。ボーナスを3か月分と仮定して年収ベースで比較してみると、大卒男性が約604万円、高卒男性が432万円で差は172万円にもなる。1年でこれだけ賃金が違うことを考えるとやはり高学歴の方が有利と言える。