業種や企業規模による賃金格差

これまで学歴による賃金格差を見てきたが、賃金は業種や企業規模によっても大きく異なる。また、正規職員と非正規職員との賃金格差も問題になっている。業種では総合商社やテレビ放送局などが高く、広告や情報処理サービスが低い傾向がある。

また、国税庁の「平成26年度分民間給与実態統計調査」によると、従業員数が1人から9人の会社の男性の平均給与が411万円であるのに対し、5000人以上の会社の平均給与は680万円となっている。また、資本金で見てみると2000万円未満の会社の男性の平均給与は426万円であるのに対し、10億円以上の会社の平均給与は700万円となっている。

これらを見ると、人員の規模や資本金の額によって賃金にも大きな差があることがわかる。したがって、学歴が高くても事業規模が小さい企業に勤めれば給与水準は低くなり、逆に学歴が低くても事業規模の大きい会社に勤めれば高い給与水準になりうる。

結局のところ、学歴が高いからといって必ず高い給与が得られるとは言えないが、学歴が高い方が大企業に勤務できる確率が高い以上、教育費を払ってでも高い学歴を得るということは無駄ではない。

日本の人事部は新卒採用を最大のイベントとして位置づけているが、アメリカでは新卒は一切採らないという企業もあるくらい中途採用が当たり前で、即戦力となる優秀な人材をヘッドハンティングするのが人事部の大きな仕事になっている。人材の流動化によって企業がどんどん活性化していくわけである。

それに対し、日本では景気が良ければ「売り手市場」などと言われて大量に新卒者を採用し、逆に景気が悪いと「就職氷河期」と言われ、就職できずにフリーターを大量生産してしまう。新卒のチャンスを一度逃してしまうと日本では正規職員になることが難しく、ずっと不安定な雇用となってしまう。景気というものによって人の人生が左右されてしまう日本の雇用慣行は非常に不平等と言わざるを得ない。

日本もアメリカも学歴社会であることは否定できない。ある程度の大学を出なければ上場企業などに就職することは難しいのが現実だからだ。企業への入口の段階では人を選別するのに時間を掛けられないため、ある程度の学力が担保されている有名大学の人材を採用しておけばリスクは少ないと企業は考える。

統計的に企業規模が大きいほど給与水準が高いことから、学歴が高い方が有利という結論は否定できないが、仕事は給与だけが全てではない。学歴を得て大企業に勤めようという動機で進学するのではなく、大学で知識や教養を身につけ、どのような仕事でもできる人材になることが大事ではないだろうか。社会に出てしまえば、学歴より実力がモノを言う世界だからだ。(ZUU online 編集部)

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