仏国際コンサルティング会社、キャップジェミニが世界15カ国、8000人の消費者を対象に実施したサーベイから、5割以上がFinTechサービスを利用していることが明らかになった。

ロボットアドバイザーを始めとする投資サービス、決済・送金サービスの人気が最も高く、利用消費者は4割を上回っている。しかし4割の消費者がスタートアップよりも従来型の金融機関に信用を置いているなど、まだまだ課題は山積だ。

FinTech顧客は忠実性が強い?

米ビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」との協力で発表された「World FinTech Report 2017」から、FinTechが着実に世界各地で浸透している成果が読みとれる。

飛躍的な伸びを見せているのは投資サービス。すでに44.8%の消費者に利用されており、そのうち17.4%はFinTech投資サービスのみを利用している。また従来型の投資サービスからFinTechに乗りかえた消費者(併用も含む)は46.2%にものぼる。

次いで決済・送金は41.6%が利用。FinTechサービスのみの利用者は13.8%、併用型は27.8%だ。意外にもバンキングサービスは29.4%と、31.4%の保険サービスを下回った。

FinTechサービスの最大の顧客層は「ハイテク通」。テクノロジーに精通している顧客の利用率は67.3%と非常に高い。またY世代(1980年代から1990年代生まれ)の60.9%、経済的に裕福な層の61%がスタートアップを後押ししている。

気にかかるのはFinTechスタートアップへの信頼度が23.6%であるのに対し、従来型の金融機関への信頼度が36.6%にとどまっている点だ。「安全性」「サービスの質」「透明性」などが理由として挙げられていることから、今後スタートアップにとってはこれらの分野の強化が最重要課題となるだろう。

興味深いことに、実際にFinTechサービスを通してポジティブな経験を得た顧客は、56.3%が「スタートアップを信用する」と回答しているが、従来型の金融機関の顧客で同様の見解を示しているのは52.9%だ。つまりFinTechの顧客の方が、一度信用を得たあとは強い忠実心が期待できるということになる。

従来型の金融機関にとっては「革命的な戦略」に焦点が当たりそうだ。調査に協力した100人のエクゼクティブ中、5割が「革命的な戦略を打ちだす自信がない」と回答。「効果的に実践している」と感じているのはたったの10%にとどまった。「デジタル革命に対応できるリーダー不足」という現状が、サーベイ結果に反映されている。( FinTech online編集部

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