ドイツ銀行が今後の資本市場の動きを予想するレポートの中で、「数年以内にブロックチェーンの影響が資本市場にもおよぶ」との見解を示した。

レポートに掲載されたサーベイの参加者(金融産業関係者200人)のうち、87%が「ブロックチェーンおよび分散型台帳技術が、将来的に証券市場に影響を与える」と確信しており、78%が「今後6年以内にブロックチェーン技術があらゆる分野で採用される」と予測している。

ブロックチェーンが低コスト証券取引システムの基盤を築く

サーベイ結果には金融産業から見たブロックチェーンの利点が反映されている。38%が「証券取引で20%以上のコスト削減につながる」と回答していることから、銀行にとって最大の関心が低コスト証券取引システムの開発に向いていると推測される。

英企業経営コンサルタント、オリバー・ウェイマンのデータによると、銀行のIT運用投資は年間1000億ドルから1500億ドル(約10兆6720億円から16兆80億円)に達している。さらには証券取引の手数料、総額1000億ドル(約10兆6720億円)が、ここに加算されることになる。これら巨額コストを大幅に削減してくれると期待されている最新技術がブロックチェーンである。

それと同時に信頼性、透明性、効率性の向上でも優れているとされている。次世代取引システムの基盤を築く技術として世界中から注目を集めているのは当然だろう。

サーベイからは31%が「テクノロジー導入にともなうリスクの防止にも一役買う」との見解を示している。そのうち48%が「システムダウンのよる市場混乱」、36%が「規制問題の軽減」、36%が「データ漏出」、31%が「サイバー犯罪の防止」に役立つと期待している。
犯罪規模が拡大しているサイバー犯罪は、あらゆる分野の脅威となっている。「デジタル化最大の懸念」と見なす回答者も多い。サイバー犯罪防止のコストはすでに3分の2の回答者の企業で、IT部門全体の予算の11%から20%を占めている。今後3年間にわたる予算を主権機関は10.2%、機関投資家は11.7%、さらに増やす構えだ。回答者はブロックチェーンの採用で、この分野のコスト削減を図ることも可能になるのではないかと見ている。

回答者からは「銀行はブロックチェーンの採用で出遅れている」との声も聞かれる。しかし過半数が3年から6年以内、遅くとも7、8年後には、証券取引などに取りいれられていると予測している。( FinTech online編集部

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