東日本大震災をきっかけに地震保険が注目されるようになった。さらに熊本地震や鳥取中央地震など最近は地震がいたるところで頻発しているため、地震保険に加入することを検討している方も多いことだろう。

では、地震保険とはどんな補償をしてくれるのだろう?そして火災保険とは違うのだろうか?

目次

  1. 他の損害保険と全く異なる地震保険
  2. どちらも建物を補償。火災保険と地震保険の違いとは?
  3. 火災保険と地震保険、どちらに加入したらいい?
  4. まずは火災保険に加入しよう
  5. 注意しておきたい点とは

他の損害保険と全く異なる地震保険

地震保険とは「地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する保険」のことだ。

火災は火災保険ではないのかと思うかもしれないが、地震が原因である火災は地震保険でなければ補償されない。さらに、地震直後の火災だけでなく地震発生から半日程度経ってからの火災であっても火災保険では補償されない。

仕組みも他の保険と異なり、地震保険は法律によって国と取り扱い保険会社が民・官共同で運営している。また支払いも、補償額が1150億円を超える場合は、国と保険会社で折半することになっている。さらに、国と保険会社の合計支払額が1兆9250億円を超えた場合、その95%は国が責任を負う。

どちらも建物を補償。火災保険と地震保険の違いとは?

建物の損害を補償するという点で、火災保険と地震保険は一見、似ている。しかし、この2つは性質の違う保険だ。

まず、火災保険は各損保会社が取り扱う保険だが、地震保険は前述の通り、政府が関与する官民一体の保険制度だ。保険に加入できる建物にも違いがあり、火災保険は住宅、事務所、店舗、工場が対象になっているが、地震保険は住宅もしくは事務所と兼用の住宅となっている。

補償内容は火災保険の場合、各保険会社で補償内容が異なるが地震保険は、民・間一体というその性質上、どの保険会社で加入しても同じ。それと同様に、保険料も火災保険は各保険会社で異なり、地震保険ではどの保険会社でも同じだ。

対象範囲は火災保険が火災、落雷、破裂、爆発、風災、雪災、浸水その他の加入条件によって補償内容が異なってくるが、地震保険は地震、噴火、津波による被害となっている。支払われる補償は火災保険が保険金額に合わせて限度額を限度に損害が補償されるのに対し、地震保険は、全損、半損、一部損の3種類の基準しかない。被害を受けてもこの基準に達していない場合は補償が受けられない。

このように、火災保険と地震保険では大きな違いある。地震保険のイメージとしては、自動車保険の自賠責保険を考えるとよいだろう。

火災保険と地震保険、どちらに加入したらいい?

では、火災保険と地震保険どちらに加入すればよいのだろうか?

実は、地震保険は基本的に単独で加入することができない。火災保険とセットで加入する必要がある。地震保険は政府主導のもと加入促進が行われている保険で、各保険会社は販売窓口となっているに過ぎない。さらに、住居しか保険に加入することができないことや、補償額が火災保険の30%〜50%となっている。地震の被害は規模が大きく広範囲に及ぶので補償を支払う保険会社の能力も考慮したものとなっている。

地震保険は、地震発生リスクが高い地域ほど保険料も高く設定されている。建物の構造によっても保険料が異なっており、地震に弱い建物で、地震の発生リスクが高い地域では保険料が高額になることが考えられる。それなのに、支払われる補償は最大でメイン契約の火災保険の50%だ。

したがって、地震保険に加入するかどうかは、それぞれの状況によって異なってくる。住宅ローンの返済がこれからも長く続く方、被災した時にその後の収入が途絶える方、預貯金の少ない方などは被災後の生活を立て直すために検討してみると良いだろう。住宅ローンを抱えている場合も最初のうちは地震保険に加入しておき、ローン残金が減ってきたら地震保険を見直すという方法も良いだろう。

まずは火災保険に加入しよう

では、いざ火災保険に加入しようとした時、どのようにすれば良いか。加入するまでにいくつか考えておく必要のある事柄があり、まず、建物の用途が住宅用か店舗用かという点だ。それぞれで加入する保険が違っており、店舗でも飲食店はリスクが高いため保険料が高くなる。

続いて保険期間。数年契約、1年契約、1年契約でも一括払いと12回払いとあり、一括払いが安い一方で、途中の見直しできなくなるのがデメリットだ。

さらに、補償範囲によってもの料金が変わってくる。全ての災害までカバーするプランは高額になり、補償範囲を絞れば保険料は安くなる。例えば家が建っている場所が高台にあり、浸水リスクが低いのであれば補償範囲から外すことができる。そのようにしてリスクと見比べながら必要な補償を充実させるようにしたい。

最後は加入する保険会社である。損害保険会社、共済、少額短期保険業者と火災保険の販売業者はいくつかある。賃貸契約の際には保険会社が指定されていなければ代理店でしっかり補償内容を相談しながら決めると失敗が少ないだろう。

注意しておきたい点とは

建物の損害は大きいものになるとすぐに生活に支障がでる。普段の生活をイメージしながら、保険料に見合う補償内容かどうか確認すると良いだろう。まずは、保険代理店でじっくり相談しておくと良い。住宅購入の際、ローン手続き時に金融機関で火災保険も加入することもあるだろう。たくさんの書類がありその書類作成にも時間がかかるため説明が不十分であったり、確認が不十分になったりすることもある。

火災保険加入時は、住宅ローンの手続きや引越しの準備など慌ただしい状況で考える余裕があまりないこともあるので、事前に相談窓口で相談などしておこう。

保険は何か損害が発生した時にその損害を補償するためのものである。必要以上に補償をつけると支払いばかりすることになる。だからと言って少なすぎる補償ではいざという時に補償しきれなかったり、補償の対象ではなかったりしてしまう。バランスよく調整し時には見直すことも必要だろう。