ウェルズ・ファーゴが米デジタル・ウェルスマネージメント・スタートアップ、SigFigとの提携により、来年上旬にロボット・アドバイザーのテストサービス開始を予定していることを明らかにした。

長らく変化の気配すら見られなかった金融産業に、衝撃的な革命をもたらしたFinTech。そのFinTechを代表するツールとして、スタートアップから大手金融機関までが、競うようにロボアドの採用に乗りだしている。ATカーニーの予測では、今後4年間でロボアド市場が20兆ドル(約2186兆3999億円)に達するようだ。

UBSとも提携するスタートアップ、SigFigの技術を採用

ウェルズ・ファーゴのロボアド導入については昨年から報じられており、ウェルズ・ファーゴも2017年を目途に開発を進めていることを公にしていた。しかし独自のシステムを開発するのか、既存のロボアドを採用するのかなどの詳細は明かされておらず、水面下でプロジェクトを進行させているという印象が強かった。

今回の正式発表をひかえ、ウェルズ・ファーゴの資産運用部門責任者、デヴィッド・キャロル氏は、顧客やアドバイザーからの要求に応えてロボアド導入に踏みきったこと、ロボアドが次世代顧客層の獲得の重要なキーとなることなどを強調。

ウェルズ・ファーゴが提携企業として選んだのは、世界中で4000億ドル(約43兆7200億円)以上の資産を運用するデジタル・ウェルスマネージメントのリーダー企業、SigFigだ。2007年の設立以来、最少額2000ドル(約22万円)から利用可能な小口デジタル投資で人気を集め、瞬く間に顧客数が80万人を突破した。

BettermentやWealthfrontなど、ミレニアム層の投資家をターゲットにしたライバル・ロボアド企業とは異なり、SigFigは既存の大手銀行との提携に積極的だ。今年5月には、スイスUBSウェルス・マネージメントとの提携も発表。ロボアド・イノベーション・ハブの共同設立のほか、UBSがSigFigの一部の株を買いいれたことなども報道されている。

同じロボアド技術の採用とはいえ、UBSがプライベート・バンカー専用のデジタルツールを提供しているのに対し、ウェルズ・ファーゴは一般投資家などを含め、より幅広いアプローチを展開していく構えだ。

SigFigのマイク・シャCEOは、「次世代投資システムの導入を検討している企業にとって、自社のプラットフォームとデジタルツールが素晴らしい恩恵をもたらす」として、大手銀行との提携関係を大いに歓迎している。( FinTech online編集部

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