ドラフト,プロ野球,職業選択
(写真=PIXTA)

今年のプロ野球ドラフト会議、日本ハムに6位指名されたのは履正社の山口裕次郎投手。しかし、山口投手は日本ハムの指名を拒否する態度を表しており、球界には大きな波紋が広がっている。

メディアによると、山口投手及び周囲の関係者は事前調査に対し、「もし4位以下の指名を受けたときは、本人は社会人(JR東日本)へ進む意思があるので4位以下指名は遠慮してほしい」という意思を伝えていた。

それに対し日本ハムは、6位での指名を強行。山口投手本人と所属の学校側も、日本ハムの強引な行動に大きな戸惑いを示しているようだ。

このような、プロ野球におけるドラフト会議の入団拒否トラブルは過去にもいくつか例がある。プロ野球チームから指名を受けることは名誉であり夢のはずなのに、ドラフト時のトラブルはなぜ起きてしまうのか。

ドラフト指名後の入団拒否、過去の事例を見る

ドラフト指名を受けた後に入団拒否した事例は、過去にも数例ある。特に1位指名を受けて入団拒否した事例は世間でも話題となることが多く、入団拒否した選手の動向はその後も注目されることが多い。

指名入団拒否の事例で、過去最も有名なプロ野球選手と言えば江川卓投手だろう。2度に渡る他球団からの指名入団拒否の後、3度目のドラフトでようやく阪神への入団に至り、その後巨人へ移籍している。

他にも同じ巨人で例を挙げれば、打者として高校球界のスター的存在としてドラフトを賑わせた元木大介選手も有名だ。当初、福岡ダイエーから1位指名を受けるもこれを拒否。翌年、巨人からの1位指名を受け入団を果たしている。

元木選手とほぼ同時期に、ドラフト1位指名を受け入団拒否したドラフトの目玉が小池秀郎投手だ。8球団が競合した後、ロッテが指名権を獲得するもこれを拒否。社会人野球を経てから近鉄に入団している。

ドラフト指名の入団拒否を行った後、最終的に米大リーグに進出した選手と言えば、中日に入団した福留孝介選手が有名だ。ドラフトで7球団が競合した後、近鉄が指名権を獲得したがこれを拒否している。

指名入団を拒否したプロ野球選手は他にも数名いるが、特に一般的にも認知されるほど目立った活躍を見せてくれたのは、最近で言えば江川投手と福留選手くらいではないだろうか。

入団拒否が起きてしまう日本のドラフト制度の仕組みとは?

現在の日本プロ野球におけるドラフト制度では、選手側から希望入団を指定する、いわゆる逆指名は行われていない。過去に逆指名制度が適用された時期もあったが、球団から選手への裏金問題などが発生し、制度は廃止された。

逆指名制度が廃止されてからは、選手の入団に関して全て球団側に選択の権利が移ることになった。選手側には選択の自由がないことを意味する。

ドラフト会議では、最初に1名入団させたい選手を各球団が指名することになる。12球団それぞれで最初の1人を指名する。いわゆる1位指名というものだ。もし1位指名が球団同士で重なってしまった場合は、入札抽選となる。

2巡目は指名入札ではなく、球団順位の逆順に指名していくウェーバー方式で行われていく。3巡目は球団順位通りにウェーバー方式で指名していく。

以降、逆順・順位通りの交互にウェーバー方式をとっていき、全球団が選択を終了するか、選択選手の合計が120人に達した時点でドラフト会議は終了。

選手側に選択の権利がないのは、知名度が高かったり報酬が高かったりする人気の球団に、入団希望が集中してしまうことで戦力に偏りが出ないようにするためだと言われている。

ドラフト制度を巡る問題から見えてくる、選手の入団制度に関する今後の課題

日本のプロ野球は歴史があり、国民に最も人気のあるプロスポーツの一つだ。プロ野球チームのファンは男女問わず子供から年配までとても幅広く、日本人特有の娯楽とさえ表現できる。

そんな中でサッカーやバスケットボールなどもプロリーグが開始され、日本のプロスポーツ界もさまざまな視点で盛り上がるようになってきた。

有望な新人選手の獲得方法は、各プロスポーツ界によってそれぞれに特徴がある。世界的な人気スポーツともなれば、新人選手の獲得方法も世界基準となってくるだろう。

だが、日本のプロ野球に関してはその国民的娯楽としての側面上、世界的な流れに合わせるというよりも、日本のファンが楽しめる形を維持することが望ましいのではないだろうか。

もちろん入団を希望する選手自身の選択の権利という観点も尊重されるべきかもしれない。一方、どの球団にも有望な新人選手が均等に入ることで、戦力が拮抗したペナントレースが展開されることを望むファンも多い。

トラブルのないドラフト制度を作るには、やはり選手側の希望球団選択の権利と、球団側の実力平等の実現が同時に可能となるような制度の内容で、不正のない仕組みを構築する方法を粘り強く探っていくしかないのではないだろうか。(藤瀬雄介、スポーツ・ヘルスケアライター)

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