トランプ・ラリー,シェールガス,
(写真=PIXTA)

米国大統領選後に債券売り・株買いの「トランプ・ラリー」が盛り上がる中、北米市場での売上比率が高い銘柄や、金利上昇が追い風となる金融株が人気を集めてきた。エネルギー政策に目を移すと、トランプ氏がシェールガスの振興を掲げる点も見逃せない。掘削用部材向けのPGA(ポリグリコール酸)事業の成長が見込まれるクレハ(4023)などに注目したい。

米国のシェールガス生産は、原油価格の暴落に端を発する一時の低迷から脱しつつある。シェールガス生産の先行指標とされる掘削リグ数(米石油サービス会社ベーカー・ヒューズ調べ)は、11月第3週時点で471基と5月から約1・5倍に増加した。

OPEC(石油輸出国機構)の減産合意への期待を背景に、原油価格が底打ちしたことが要因。それに輪をかけて、トランプ政権スタートに予想される規制緩和や、再生エネルギーへの補助金削減による効果が増産機運を一段と盛り上げそうな情勢にある。

クレハはPGA事業拡大へ

クレハが手掛けるPGAは、「水圧破砕」と呼ばれるシェールガスの掘削技術で使う樹脂成形部材(フラックプラグなど)の原料として注目されている。金属並みの強度を備える上、金属製の場合は使用後にドリルで壊して回収する必要があるが、PGAは水と反応して分解する性質を持つため回収の手間が省ける。

同社は米国に年間生産能力4000トンのPGA工場を持ち、「大量生産体制を確立している世界唯一の企業」(クレハの広報・IR部)。このほどプラント大手の日揮(1963)と現地に合弁会社(クレハの出資比率は70%)を設立。従来は現地企業と独占契約を結んでいたが、より幅広く展開できるよう戦略を見直し、来年1月から独自にPGA製の掘削機器を積極的に販売する。

クレハは2019年3月期に目標とするPGA事業の売上高130億円(前期は35億円)、営業利益15億円(同5億円の赤字)について「達成は可能」(クレハ広報・IR部)と話すにとどめるが、市場では「事業戦略の見直しや、トランプ政権での水圧破砕に関する規制緩和によって上方修正される可能性が高まった」(外資系証券)との声も聞かれる。

株価はフシ目の4300円どころの上抜けが目前。新局面に入れば5000円どころまでは需給面の重みも限定的とみられる。トランプ関連株として、低PBR(株価純資産倍率)0.6倍と割安な水準の再評価が進みそうだ。

このほか、シェール関連機器では遠心分離機の巴工業(6309)、コンプレッサーの荏原(6361)、コーティング設備の新東工業(6339)、水圧破砕時に使用される窒素を供給する大陽日酸(4091)などをマークしたい。

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