私たちが生活をする中で、万が一のための備えとなるのが「保険」だ。その種類は、自動車保険、生命保険、がん保険など様々であるが、その中で「スポーツ保険」も代表的な保険の1つとして挙げられるだろう。しかし、先に挙げたような保険に比べると、一般にはやや馴染みが薄い印象を持たれているかもしれないスポーツ保険とは、一体どんなものなのか、詳しく見ていこう。

目次

  1. スポーツ保険とは
  2. スポーツ保険の種類と金額
    1. 個人加入向けの保険
    2. 団体加入向けの保険
  3. 国内と海外
  4. スポーツ保険が補償するもの
    1. 死亡保険金
    2. 後遺障害保険金
    3. 入院保険金
    4. 通院保険金
    5. 手術保険金
    6. 賠償責任保険
    7. 突然死葬祭費用保険
  5. 保険料が支払われないケース
    1. 傷害保険での対象外の例
    2. 賠償責任保険での対象外の例
    3. 突然死葬祭保険での対象外の例
  6. スポーツ保険を選ぶポイント
  7. 加入する方法
  8. スポーツ・文化活動に安心して参加するために

スポーツ保険とは

スポーツ保険は、スポーツや文化活動の最中に、不幸にもケガや病気に見舞われた時に補償してくれるものであり、その補償内容は他種の保険と同様、多岐にわたっている。活動中に偶発的な事故によりケガをした時などに適用される「障害保険」、誤って自分が他者にケガをさせたり、他人のものを破損させた時に適用される「賠償責任保険」などがその最たる例だろう。また、加入期間についても1日から長期まで、ニーズによって選ぶことが可能となっている。掛け金にしても、補償内容にもよるが、少ないものでは年額数百円程度の保険も存在するため、非常に手軽な使い方ができると言ってもよいのではないだろうか。

【合わせて読みたい】
保険を見直す際の注意点 「損をしない」ために必要なこと
「いま保険を解約すると損?」あなたの深層心理に潜む呪縛とは
保険の見直しの「最大のハードル」 あなたは毅然とした態度で「解約」出来ますか?

スポーツ保険の種類と金額

ではまず、スポーツ保険を「個人加入向け」と「団体加入向け」に大きく二分して考えよう。基本的な枠組みとして、ゴルフやテニスなど個人で活動するときに加入するのが前者、チームスポーツや団体で文化活動に参加する場合に、その団体自体で加入するのが後者だ。団体加入の場合は、一般的に4人以上のアマチュア団体やグループを対象とすることが多い。

個人加入向けの保険

個人で加入できるスポーツ保険は、自分の行うスポーツや補償のニーズによってコース選択ができる商品が多く、より融通が利いているといってよいだろう。補償も様々だが、死亡・後遺障害に保険手当を当てない代わりに、保険料を安く設定している保険もある。期間についても、年契約だけではなく、1日単位で申し込めるものもある。また、個人のみでなく夫婦、家族といった血縁関係のグループでの加入ができるのも、個人加入型の特長であろう。

団体加入向けの保険

団体向けでスポーツ保険というと一般的には、公共財団法人スポーツ安全協会が提供する「スポーツ安全保険」を指す。ここでも、スポーツ安全保険を例にとって話を進めよう。公式サイトによると、加入できる団体は、スポーツを行う団体のみではなく、文化や芸術活動、ボランティア活動、レクレーション活動、地域活動などを行う団体と、幅広い。

この保険は、まず団体に所属するメンバーの年齢と補償対象となる活動に応じて「加入区分」が設定され、それに応じて保険への掛け金が決定される。さらに、加入区分と活動の対象範囲に応じて、傷害保険の保険金額、賠償責任保険の支払限度額、突然死葬祭保険の支払限度額が設定されている。

幅広い活動に対応できるスポーツ保険であるが、一般的に行われている球技や陸上競技、水泳などのスポーツ活動や文化活動などに対する年間掛け金は低く設定されているが、たとえば山岳登はんやスカイダイビング、アメフトなどの危険性の高いスポーツ活動については、年齢に関係なく、高い掛け金が設定されているのはやむを得ない。不測の事態に備えて、自分の属する団体がどのような補償を受けられるのかを確認しておく必要があるだろう。補償の詳細については後述する。

国内と海外

スポーツ安全協会が提供する「スポーツ安全保険」では、海外での事故に対しては保険の対象外であるということに注意したい。海外におけるスポーツに適用できる商品としては、スポーツ保険ではなく「海外旅行保険」で補償を受けられることがある。民間の保険会社で出している商品の中には、国内外を問わず補償されるものもあるため、海外でのスポーツ活動を計画する場合には、海外でも保険が適用されるかどうかを必ず調べておくようにしよう。

スポーツ保険が補償するもの

スポーツ保険は生命保険と同じく、加入しているコース・病気やケガの度合いによって、支払われる保険金額が異なってくる。ここでも、前述した「スポーツ安全保険」を参照し、主な内容について説明する。

死亡保険金

活動中に起きうる事故で最悪のケースが、不幸にも人が亡くなってしまうケースだ。この場合には、2000~2100万円(補償対象範囲による)が保険金として支払われる。しかし、一般的なスポーツ活動をする団体で65歳以上の加入区分に属する人については600万円、年齢を問わず危険度の高いスポーツ活動をする加入区分に属する人については、500万円の保険金となる。

このように、一般的なスポーツ活動をする団体であっても65歳以上の加入区分に属する人と、年齢を問わず危険度の高いスポーツ活動をする加入区分に属する人については、以降に説明する各種保険金において、受け取れる保険金額が少ないのが特徴となっている。

後遺障害保険金

後遺症が残る障害を負った場合は、多くの治療費が継続的にかかるため、その障害の度合いにより、最高で3000~3100万円(補償対象範囲による)の保険金を受け取ることができる。なお、一般的なスポーツ活動をする団体で65歳以上の加入区分に属する人については900万円、年齢を問わず危険度の高いスポーツ活動をする加入区分に属する人については、750万円の保険金となる。

入院保険金

入院については、治療日数1日目から補償される。保険金額は医療費の実費ではなく、1日当たり、4000~5000円(補償対象範囲による)の定額保険金が支払われる。また、一般的なスポーツ活動をする団体で65歳以上の加入区分に属する人、および年齢を問わず危険度の高いスポーツ活動をする加入区分に属する人については、1800円の保険金となる。

通院保険金

通院も入院同様、治療日数1日目から補償される。保険金額は医療費の実費ではなく、1日当たり1500~2000円(補償対象範囲による)の定額保険金が支払われる。また、一般的なスポーツ活動をする団体で65歳以上の加入区分に属する人、および年齢を問わず危険度の高いスポーツ活動をする加入区分に属する人については、1000円の保険金となる。

手術保険金

手術保険金に関しては、医科診療報酬点数表に掲載のある特定の手術に対して支払われるようになっており、保険金額は、入院中が入院保険金日額の10倍、入院中以外が5倍となっている。

賠償責任保険

対人・対物に損害を与えてしまった場合の賠償責任保険については、対人賠償に1人1億~1億5千万円(補償対象範囲による)、1事故合算で5億~5億5千万円(補償対象範囲による)を限度として支払われる。

傷害保険と違うのは、他者に対して被保険者が支払いの責任を負わなければならず、他者との話し合いによってその金額の大小が決定する、という点だろう。そのため補償金額の数字も傷害保険に比べて大きいものとなっている。

突然死葬祭費用保険

突然死葬祭費用保険とは、保険加入者が団体活動中、または活動場所への往復中に突然死してしまった場合に支払われる保険金であり、いかなる加入区分に属する人に対しても、葬祭費用として最大180万円が補償される。

保険料が支払われないケース

このように、スポーツ保険に加入することで、安心してスポーツや文化活動に参加することができるだろう。しかし、保険に入っているからといって過信は禁物だ。保険が適用されるのは「活動中、または活動の移動途中での偶発的な事故」というのが基本的な条件だ。被保険者の故意によるものや、スポーツ活動とは関係ない場面で起きたケガや破損に対しては、保険金が支払われない事例として挙げられている。各保険について、主な対象外の例を説明するが、下記以外についても忘れずに目をとおしておきたい。

傷害保険での対象外の例

傷害保険における支払い対象外の例外としては、成長痛や野球肩などの慢性的なケガのケースが挙げられる。あくまでも保険の対象となるのは「偶発的、かつ突発的な事故」であり、試合中における骨折などを具体的な例として考えれば分かりやすい。さらに、スポーツ保険は地震・火災保険とは異なるため、震災によってケガを負ったときは活動中であっても補償の対象外となる。

賠償責任保険での対象外の例

賠償責任保険における対象外の例としては、被保険者が法的な損害賠償責任を負っていないケースである。
活動中の避けられない多少の事故については法的責任を問われない場合もあり、その事例によって責任を負うかどうかは異なると言える。

突然死葬祭保険での対象外の例

突然死葬祭保険については、傷害保険における死亡保険金の対象事例に当てはまる場合は支払われない。

スポーツ保険を選ぶポイント

スポーツ保険を選ぶポイントとしては、冒頭で述べたように、「個人加入向け」か「団体加入向け」かということが第一に挙げられる。個人加入向けの場合は各種保険から、入りたい条件にあった商品を選ぶことになる。保険会社によってはゴルフや自転車、スキーなど自分の行うスポーツによってプランニングを行うこともできるのは便利な点の1つであると言えるだろう。また加入期間や受けたい補償によって掛け金も異なり、自分がやりたいスポーツと照らし合わせて選択しよう。

団体加入の場合は加入期間がポイントとなり、年度(4月1日~翌年3月31日)を選ぶか、3か月以下の短期スポーツ教室が対象となるものを選ぶかが重要になる。掛け金については、これまで詳しく述べたように、年齢や行うスポーツ・文化などの活動により決定されるため、個人加入と比較すると選択肢が少なく分かりやすいと言えるだろう。

加入する方法

個人加入向けのスポーツ保険であれば、各保険会社にて、各種申し込み方法があるのでそれに従って申し込む。携帯料金と一緒に掛け金を支払うことのできるサービスを、ソフトバンクやドコモが提供しており、気軽にインターネットを使って申込みをすることも可能だ。

団体加入向けのスポーツ安全保険は、公式サイトの「スポ安ねっと」を介した方法が便利だろう。あるいは、依頼書に必要事項を記入し、指定金融機関、または一部郵便局に提出、掛け金振り込みを行うことによって完了する。公式サイトには問い合わせ先も載っているので、申し込む際には利用したい。

スポーツ・文化活動に安心して参加するために

このようにスポーツ保険に加入しておくことで、不測の事態が発生したときに様々なサポートを受けられるのは、活動を行っていくうえで安心できる心理材料となるのではないか。個人加入のスポーツ保険にしても、目的、掛け金、補償内容は実に様々だ。後から保険に入っておけばよかったという後悔のないように、自分が必要とする条件にあったものを選択するようにしよう。(ZUU online 編集部)

◇月々の保険料を考え直したい方は、まずは保険選びのプロに無料相談するのがおすすめ
>>保険見直し本舗の公式ページはこちら

【合わせて読みたい】
保険を見直す際の注意点 「損をしない」ために必要なこと
「いま保険を解約すると損?」あなたの深層心理に潜む呪縛とは
保険の見直しの「最大のハードル」 あなたは毅然とした態度で「解約」出来ますか?

【関連記事】
コープ共済はどんな保険?生命保険との違いやメリット・デメリットを解説
「保険代理店」は何をしてくれるのか? なぜあるのか? 業界構造やビジネスモデル
ペット保険は本当に必要なのか?治療費の統計データから飼い主目線で徹底検証
日本人の貯金と投資の割合は?ビジネスパーソンの約4割が資産運用を実践
厚生年金基金とは?厚生年金と何が違うの?