格差社会,所得格差
(写真=PIXTA)

厚生労働省は2016年9月、「所得再分配調査」において、平成26年の世帯ごとの所得格差が過去最大であったとの調査結果を発表した。この調査は3年に1度、無作為に抽出された世帯に対して行われているものである。厚労省は、所得格差が生じている原因として、高齢世帯の増加があるとしている。このまま高齢化が進むと世代間の格差は広がっていくのだろうか。その原因と解決策について考えてみたい。

ジニ係数で格差をはかる

「平成26年 所得再分配調査」の結果によると、所得再分配前のジニ係数は、平成26年「0.5704」と過去最高になった。しかし、同年の所得再分配後のジニ係数は「0.3759」で、平成23年が「0.3791」だったことから、わずかではあるが減少している。これは、所得再分配により、所得格差が縮小していることを意味する。

ジニ係数は、イタリアの数理統計学者のコッラド・ジニ(Corrado Gini)が1936年に考案した統計学の概念で、「0から1」までの値をとる。0に近いほど格差が小さく、1に近いほど格差が大きい。ジニ係数が優れている点は、格差の実態を1つの係数に集約し比較することができるということだ。ただ、あくまで数字の積み重ねなので、中身はわからないという点は注意が必要である。

算出方法は、まず、対象となるすべての数値間の差の絶対値を合計して「平均差」を求める。次に、全体の「平均値」を計算し、平均差を全体の平均値の2倍で割る。

これだけだと何を言っているかわからないと思うので、具体例で示すと、たとえば、年収が「200万円、300万円、500万円」の場合のジニ係数は次のように計算する。

①絶対値200-300=100
②絶対値200-500=300
③絶対値300-200=100
④絶対値300-500=200
⑤絶対値500-200=300
⑥絶対値500-300=200

平均差:(100+300+100+200+300+200)/6=200
平均値:(200+300+500)/3=333
ジニ係数:200 /(333×2)=0.3

これが、「200万円、300万円、2000万円」になると、次にようになる。

①絶対値200-300=100
②絶対値200-2000=1800
③絶対値300-200=100
④絶対値300-2000=1700
⑤絶対値2000-200=1800
⑥絶対値2000-300=1700

平均差:(100+1800+100+1700+1800+1700)/6=1200
平均値:(200+300+2000)/3=833
ジニ係数:1200 /(833×2)=0.72

つまり、1人だけ突出して年収2000万円の人がいることで、ジニ係数が大幅に1に近づいているのがわかると思う。このように、ジニ係数は簡単に求めることができるので、格差を調べるのに非常に便利なものになっている。

世代間格差が生じる原因

日本の構造的な問題として、年功序列が依然として強く、年齢が高いほど給与が高いというのが一般的だ。その上、現在の高齢者を支えるため社会保障費は増え続け、社会保険料の負担増が若者の所得を引き下げている。実際、賃金の違いを見てみると、20歳以下の当初所得は「284.7万円」で、50 ~54歳は、「730.3万円」となっている。

日本の経済は少子高齢化によって縮小傾向にあり、中国をはじめとした世界各国の台頭によって益々競争は厳しくなってきている。今後、日本経済が衰退する中で少子高齢化が進めば、生活を維持することすら難しくなる。いわゆる「貧困化」という問題だ。豊かな日本で貧困なんてあり得ないと思われるかもしれないが、現にシングルマザーなどで子どもの学校の給食代すら払えない貧困家庭が増えている。

世代間の所得格差を調整するのが税や社会保障で、税は累進課税によってうまく機能し、富裕層を中心に課税の強化も図られている。それに比べ社会保障は、最近年金改革法案が通ったが、それでもまだ十分とはいえない状況が続いている。若者が政治に対して、もっと意見を言うようにならないと高齢者よりの政策ばかりが通るようになってしまう。選挙年齢の引下げも行われたことなので、自らの権利は自らの力で守っていかなければならない。

所得格差解消の方法は? 若者の所得獲得の機会与える

所得格差解消の方法としては、何より経済の立て直しが重要である。人材不足を補うためにも1人1人が生産性を高めていくしか日本が生き残る術はない。企業に正社員として就職してしまえば安泰という考えの人ばかりでは世界との競争には勝てないだろう。

世代間の所得格差の問題は、若者の所得獲得の機会を増やすことが特に重要になる。極端な話をすれば、給与は今の2倍位支払って、その代わり職員全員を終身雇用ではなく1年契約として、能力がなければ更新しない位の荒療治をしないと日本の企業は成長を維持することはできないのかもしれない。その代わり、当然高い報酬が必要になる。

また、非正規職員を正規化すべきとの主張もよく聞かれるが、正規は安泰、非正規は不安定ということが問題なのではなく、生産性の低い正社員が高い給与をもらい、生産性の高い非正規職員の給与が低いのが問題なのだ。外資系企業にように能力がなければすぐにクビにするような会社は決して心地よいとは言えないが、一度正社員として採用されれば、一生安泰というのもこれはこれで問題なのだ。(ZUU online 編集部)

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