東京株式市場は1日、前夜のOPEC(石油輸出国機構)総会での減産合意を受けて資源・石油関連株を中心に買い人気が爆発。日経平均株価は一時前日比437円高となり、終値(204円高の1万8513円)で1月4日の年初来高値(1万8450円)を更新した。外国為替市場では、9カ月半ぶりの水準となる1ドル=114円台後半まで円安が進み、株高の流れはもはや止めようのない様相を呈してきた。
相場は短期調整も〝第2波〟迫る
この日はOPEC総会での決定を材料視した前日の原油先物相場の急騰を背景に、資源、石油セクターに物色の矛先が向かったほか、資金は輸出株や金融株、内需の一角にも流入してほぼ前場は全面高の展開となった。高値の更新は個別でも今年2番目の多さの298銘柄(東証1部)に上った。
極めて急ピッチな株価上昇は、米大統領選のあった11月9日終値比で日経平均が15%に達している。上昇基調が鮮明な米国の長期金利を起点に、円安、株高のラリーが市場関係者の当初の見込みをはるかに上回る勢いで加速した格好だ。
短期高騰に対する警戒感は根強い。「目先はバリュエーションを気にせず、いくところまでいく」(ネット証券)ともう一段の上値余地を指摘する声もあるが、いずれにしても早い時期に利益確定売りの圧力が高まるとの見方が強い。14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で予想される追加利上げ後(出尽くし売り)、あるいは、「年内」という暦上の区切りがそのタイミングとみられる。
ただ、中・長期的には相場はさらにスケールアップする可能性がある。
大和証券の石黒英之シニアストラテジストは、「トランプ次期米大統領の政策期待を原動力とする円安・株高の〝第1波〟は、次の〝第2波〟に移行する」と話す。基盤となるのは物価の上昇だ。
原油をはじめとする商品市況の上昇を背景に、代表的な国際商品指数であるCRB指数が足元で前年同期比プラス圏内に浮上した。これは、一定のタイムラグを持って世界的な物価高に結び付くことで、一段の米金利の上昇を招く公算が大きいことを意味する。
米金利の上昇は円安の根拠となることもあり、日本株は世界相対でも米金利に対する感応度が高い。米国でトランプ政権がスタートし、日本国内では円安による企業業績の回復が見込まれる来年1~3月期にかけて、「日経平均が2万円の大台に到達する可能性がある」(石黒シニアストラテジスト)という。
こうした中、物色動向としては期待インフレ率の上昇が好材料となるメガバンクや保険などの金融セクターを中心に、来期の2ケタ増益が予想される輸出株などが有力だ。アイフル <8515> や、牧野フライス製作所 <6135> 、GMB <7214> などに注目したい。
原油高メリット株に買い殺到、主な原油メリット関連の原油価格前提
懐疑的な事前の見方を覆すOPEC(石油輸出国機構)の減産合意により、1日の株式市場では資源会社や石油元売り、プラントなどの原油関連株が幅広く買われた。
現地11月30日にウィーンの本部で開かれたOPEC総会では、各産油国が原油生産量の調整で足並みをそろえた。来年1月から、加盟国全体の生産量(1日当たり)を3250万バレル程度(10月は3364万バレル)に抑える。イランに対してサウジアラビアが譲歩したとみられるほか、ロシアなど非加盟国も同調する方針を示すなど、「サプライズ」の結果となった。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物(期近物)は同日、9%を超す大幅高を演じ、1バレル=50ドルの大台に迫った。原油高が業績の追い風となる各社の今期前提(表参照)を上回る水準となったことで、株式市場で見直し買い意欲が高まった。
石油資源、日揮など新高値JALは弱含み
今3月期下期に1バレル=45ドルを想定する石油資源開発 <1662> は、1ドルの原油高が年間営業利益を約5億円押し上げる。1日の株価は一時前日比で14%超上昇。同様に下期1バレル=45ドルが前提のJXホールディングス <5020> も8%超値上がりした。このほか、日揮 <1963> などのプラント株も買われ、資源価格の上昇が追い風となる建機のコマツ <6301> が高値を更新。一方、燃料高が懸念される日本航空(=JAL、 <9201> )やANAホールディングス <9202> は弱含んだ。(12月2日株式新聞掲載記事)
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