何かとお金がかかると言われる介護だが、具体的にはどのような費用が必要となるのだろうか。今回は介護にかかる費用を列挙し、それぞれの相場と介護保険について探っていく。

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(写真=Thinkstock/Getty Images)


介護にかかる費用の相場と内訳

要介護の程度にもよるが、一般的には自宅の改装費(バリアフリー化や手すりの取り付けなど)や介護用品の購入・レンタル、介護施設に通所する費用、自宅に介護職員に来てもらう費用などが必要となる。要介護度が高い場合や自宅での介護が難しい場合には介護施設に入所することになるため、自宅の改装費は必要なくなるものの、施設に支払う費用は通所の場合と比べて格段に高額になる。

自宅の改装費は、上限はあるものの8割~9割は介護保険から給付されるため、大がかりな工事を伴わない手すりの取り付け程度なら自己負担は2万~4万円(費用全額は20万円で、介護保険から18万円の補助を受けた場合など)で済むこともある。ポータブルトイレや杖などを購入する際にも、定められた上限額までの間で8割~9割が介護保険から給付されるため、数千円~1万円ほどの自己負担でおさめることも可能だ。

車いすと特殊寝台をレンタルするなら月額2万~3万円ほどかかるが、これも介護保険で8割~9割補助してもらえるので、実質は数千円の負担になる。ショートステイやデイケアなどのサービス利用回数は要介護度によってある程度決まっているが、いずれも保険適用内に収めるなら月々の負担額は4万~6万円程度に抑えることができる。

介護施設に入ったときの費用の目安、相場の比較

自宅で介護を受けたりショートステイなどを利用したりするのではなく、介護施設に入所するケースではどの程度の費用が必要になるのだろうか。介護付きの有料老人ホームに入所する場合、入居金として数十万~数千万円が必要になることもある。それとは別に、入所してからの部屋の掃除や食事なども含めた費用として、月々10万~40万円ほどを別途請求される。

公的な施設に入所することができれば、費用をかなり抑えることができる。特別養護老人ホームの場合は月々数万~15万円ほどで暮らすことが可能で、介護老人保健施設も月々10万~15万円ほどで入所することができる。いずれの施設も公的施設なので、入居金などのまとまった費用がいらないこともメリットだ。

介護保険を利用した際の費用負担

介護サービス利用料の自己負担は、65歳以上の被保険者の場合は基本的には1割負担。しかし、65歳以上でも一定以上の所得がある場合は2割負担となる。

具体的には、所得金額の合計(収入から公的年金などの控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で、基礎控除や人的控除などの控除をする前の所得金額)が160万円以上(単身で年金収入のみの人は280万円以上)の場合と、65歳以上の人が2人以上いる世帯で346万円以上の場合、2割負担の対象となる。

これに対して、生活保護を受けているような低所得世帯や、1カ月の介護利用料が高額になった場合には、負担が軽減される措置もある。介護サービス利用料の上限は要介護度によって決められており、それ以上の介護サービスを受けた場合の差額は自己負担となる。

2018年の介護保険制度改正による影響

2018年の介護保険制度改正に向けて、要介護度が低い場合(要介護1か要介護2)の介護負担割合を増やしたり、自宅改装費に対する補助を出さなくしたりすることが検討されている。また、介護保険支払い年齢の引き下げも検討されている。必要になったときに適切な介護を十分に受けたいと考えている人は、公的介護保険だけに頼るのではなく、民間の介護保険なども視野に入れ、もしもの場合に備える必要があるだろう。

民間の介護保険をシミュレーション

民間の介護保険に加入すると、月々いくらの保険料でどの程度の保険金を受け取ることができるのだろうか。2つの介護保険を例にシミュレーションしてみよう。

長生き支援終身(東京海上日動あんしん生命保険)

「保険金額500万円プラン」に35歳男性が加入し、月々1万6060円の保険料を60歳まで支払うと、要介護2以上の状態になったときに介護一時金として500万円が支払われる。健康な場合でも、70歳になったときに25万円、75歳になったときに25万円、80歳になったときに50万円をそれぞれ健康祝金として受け取ることができる。期間は終身だ。

介護保険(ソニー生命保険)

「死亡給付金倍率1倍プラン」に35歳男性が加入し、月々6420円の保険料を65歳まで支払うと、要介護2以上の状態になったときに介護年金として年60万円を終身受け取ることができる。要介護状態にならずに亡くなった場合は、死亡給付金として60万円を遺族が受け取ることができる。

介護にはお金がかかるが、今後はさらに被保険者の負担分を増やすことも検討されている。民間の介護保険を利用するなど、各自が備えておく必要があるといえる。保険金を受け取るタイミングや保険金支払いの条件などを詳しく調べ、自分にもっとも適した介護保険商品を選ぶようにしよう。