inbaundo
(写真=PIXTA)

「インバウンド」という言葉をご存じでしょうか。元は「内側に入ってくる/内向きの」という意味の形容詞です。そこから、「海外旅行者の国内誘致」についても使われています。

少し前に、中国を中心とする観光客の「爆買い」が大きな話題となりました。こうした海外からのお客さまによる消費行動が「インバウンド消費」あるいは「インバウンド需要」と言われるものです。

「アベノミクス」もいささか失速気味で、国民の消費支出も伸び悩んでいます。恩恵を受ける産業分野は限られるにしろ、この「インバウンド消費」に日本経済が大いに助けられていることは確かでしょう。

勢いが収まってきた「爆買い」

株式市場においても、こうしたインバウンド消費に関わる業種・企業が「インバウンド銘柄」と言われて注目を集めてきました。

この「インバウンド消費」、最近は沈静化してきたという報告もあります。

たとえばある百貨店では、数百万円もする宝飾品が1日あたり1つ売れていたのが、最近では1週間から10日に1つのペースになったといいます。ある量販店では、ツアーのバスが一度来ると戸棚が空っぽになる勢いだったのが、最近では半分くらい残るようになったそうです。

「数百万円もする商品が週に1つでも売れればすごい」と考えることもできますが、それでも一時の勢いはなくなったと言えそうです。

「インバウンド銘柄」は軒並みダウン

爆買いが収まってきた理由は、為替が円安から円高へと振れて日本での買い物が割高になってしまったことや、中国税関の検査が厳格化したことで大量の「おみやげ」持ち込みにブレーキがかかったことなどが挙げられます。

それだけではなく、日本で珍しいもの、価値あるものを一通り買うことで、買い物客の目が肥えてきたということも理由にあるかもしれません。

こうした変化を受けて、一時注目を集めていた「インバウンド銘柄」の株価は、大幅な下落をみせているものが少なくありません。百貨店や量販店、人気のおみやげ品だった化粧品・生活用品や高級時計のメーカーなどは、2016年初と比べて秋までに2桁の下落率を示しているところが多数です。なかには50%以上の下落というところもあります。

流れの変化をつかむべし

しかし、「日本への旅行人気」そのものがしぼんでしまったというわけではなさそうです。

2016年に入ってからも、中国などから多数の外国人旅行者が日本を訪れています。その勢いは年々増しており、2016年10月末の時点で年間訪日外国人数は過去最高の2,000万人を突破しました。しかも、2020年に東京オリンピックが控えていることを考えると、まだしばらくは多数の観光客が日本にやってくる状況そのものは続きそうです。

そこで重要なのは、単純な「爆買い」の後に来る新たな「インバウンド需要」の流れをつかむことです。

中国人旅行者の消費動向を見ると、単純な「買い漁り」が沈静化の方向を示す一方で、行動様式も多様化しています。旅行そのものを楽しむ「体験型」志向も目立つようになってきているといいます。

一時期盛り上がった「爆買い」のなかでも、特に製品の品質が高く評価されたものについてはリピーターが生まれ、その商品の日本から中国への輸出が増大しているケースもあるといいます。「特需」が収まりつつあるこれからこそ、きちんとした「読み」が問われることになりそうです。(提供: IFAオンライン

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