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(画像=サッポロビールWebサイトより)

サッポロビールの発泡酒「極ZERO(ゴクゼロ)」。当初は「第3のビール」として販売したが国税庁から「待った」で販売を一旦中止、「第3のビール」より税率の高い「発泡酒」として切り替えて販売。さらにそれまでの累計販売量から試算した差額分を酒税率から換算し、約115億円の追加納付している。

政府・与党は2017年度税制改正大綱で、ビール類の税額一本化など酒税を見直す方針を固めている。今後は「第3のビール」は「発泡酒」と同じ税額となるため、区分もなくなる。「ビール」と「発泡酒」の2区分に簡素化されるわけだ。メーカーの不公平感の解消もその目的の一つと見られるが、この機会になぜあのような事態が起こったのだろうか振り返ってみたい。

サッポロ極ZERO騒動の経緯

サッポロが「極ZERO」を発売したのは2013年6月。酒税の安い「第3のビール」の出荷は好調だった。国税庁が2014年1月サッポロ側に対し、製造方法の情報提供を要請。ビールの分類は麦芽比率でビール、発泡酒、第3のビールに分けられ税率が異なっているが、「サッポロ 極ZEROは第3のビールには該当しない可能性がある」と指摘した。

サッポロ側とすれば「極ZERO」は第3のビールとしての税率を基に売り出していたが、第3のビールでないとなると税率が変わり納めるべき酒税が高くなり「極ZERO」の価格では売れなくなる。だが、サッポロ側は「極ZERO」の製造を中止し、ビールに課せられる税額と第3のビールのそれとのこれまで販売した本数の差額に当たる約115億円を自主的に追加納税した。

しかし2カ月後の2014年7月にはサッポロ側は製造方法を見直し「極ZERO」を発泡酒として再発売。2015年1月26日、自主的に追加納税した約115億円の返還を国税当局に求めたのだが国税当局の回答は「返還しない」という内容だった。

あいまいな第3のビールの定義

「極ZERO」の販売を中止せず裁判で戦っていとして、もし第3のビールでないとなると多額の滞納税が課せられる。そうなるとサッポロ側の立場はますます不利となる。それを恐れたというのが大方の見方だ。また酒税法の複雑さも要因として挙げられる。

ビール類は原材料や製法の違いで税額が異なる。1缶・350ミリリットル当たりで、のビールは77円(麦芽比率67%以上)、発泡酒は46.98円(麦芽比率25%未満)、発泡酒に別のアルコールを加えたり、麦芽以外を原料にしたりした第3のビールは28円。したがって第3のビールは1缶でビールより50〜60円、発泡酒より20〜30円安くなる。

問題なのは第3のビールの定義だが、サッポロ側は本商品を第3のビールと認識しているが、よく分からない状況で続けるよりは発泡酒に変えたほうがいいと判断したわけだ。

そもそもこの問題の争点とは?

サッポロは第三のビールと認められない可能性があるとして酒税を国税庁に自主納付した。だが両者の相違の根源は「発酵」をめぐる見解にあるようだ。第3のビールには製法が2種類あって、大豆やエンドウなど麦芽以外の穀物類を発酵させて造るやり方と、もう一つは「極ZERO」と同じ製法で発泡酒にスピリッツ(蒸留酒)を加えるやり方だ。

国税庁側は、「極ZEROは発酵が不十分な段階でスピリッツを加えているため、第三のビールとはいえない」と指摘している。対するサッポロ側の不満は、発酵と判断できる状態が明確でないことだったはずだ。酒税法では、発酵状態であると判断する定量的な基準は示されていないからだ。

サッポロ側は、自主納付した酒税115億円の返還を求めて国税不服審判所に審査を請求したが、棄却された。国税庁が監督する酒税法上のグレーゾーンがあぶり出された意義はあるが、115億円はあまりにも大きい。(ZUU online 編集部)

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